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非非公式、猿遊会別室(その2) [ウォーゲーム]

 先週の土曜日はSPIのAcross Suezを2回プレーした後、OCSのBeyond the Rhineに含まれている、もっと小規模な状況設定「Operation Queen」をセットアップし、序盤の作戦をちょっと検討してみました。
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 女王作戦というのは第二次世界大戦中、米第1軍および第9軍によって1944年の11月中旬から約1ヶ月間にわたって行われた攻勢作戦で、ベルギーとドイツの国境地帯に流れるローア川に橋頭堡を築くべく行われました。
 史実では米軍が大損害を出しつつ、ローア川のダムに到達しますが、そこで「バルジの戦い」で有名なドイツ軍のアルデンヌ攻勢が始まったため、中止を余儀なくされたようです。
 上の画像は初期配置から、最初の砲爆撃までを示しています。地図盤は青いマーカーが四隅に置かれている範囲を用いますが、作戦目標であるローア川は前線からわずか3ヘクス程度の位置にあり、カウンター密度は高いです。
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 連合軍はまず、通常はランダムイベントで発生する絨毯爆撃を確定で行うことができ、それに加え、25攻撃力相当の航空攻撃を4回、72攻撃力相当の砲撃をやはり4回程度行えるだけの砲爆撃力を有しています(画像ではこれらのユニットを開いて見せています)。
 判定の出目次第ではありますが、これだけの砲撃力となると、上図のように前線のドイツ軍は1回の移動&攻撃フェイズで広範囲にDG状態にされてしまいます。
 問題は、米軍としてはどこに突破口を形成するかということかと思います。BtRの特別ルールのひとつ「西方防壁」には「ドイツ軍ユニットに隣接している西方防壁ヘクスには、連合軍は補給線を通せない」とあって、西方防壁の彼方に進撃するには最低でも3ヘクス幅の突破口を設ける必要があることに。
 この状況設定では、初期配置でちょうど米軍の突出部になっているあたり、アーヘンの南、ヒュルトゲン樹林に接するところですでに西方防壁を占領しているので、普通に考えればここを突破するのが楽そう、と思われました。
 そこで砲爆撃ののち、上図の矢印のように地上部隊による攻撃を計画、リアクションフェイズにローア川対岸で予備になっていたドイツ軍砲兵が前進してきていやがらせの砲撃が降り注ぎ、攻撃ヘクスを一カ所変更する必要が生じました。
 しかし、この時点では気づいていなかったのですが、米軍戦列の最右翼に位置している第5機甲師団(米軍には第2、第3、第5の3個機甲師団がいる)を予備にしたのはいいものの、このヘクスは道路上ではないため、突破フェイズに機動を行わせるには移動フェイズに1ヘクス隣へ移動しておく必要があったようです。
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 ともあれ、米軍は戦闘フェイズに2ヘクスでドイツ軍を撃破して突破の戦闘結果を得ました。第104歩兵師団と第2、第3機甲師団が戦闘後前進と突破フェイズの移動でそこからなだれ込み、ドイツ軍陣地2ヘクスを包囲。
 ところが包囲の両翼は右側が戦車大隊1個、左は駆逐戦車大隊1個で守っているだけという状態です。先述のように第5機甲師団を1ヘクス動かしておけば、左側の突破口を補強することが可能でした。
 右側の突破口は、たとえドイツ軍が反撃で穴を開けても地形のために補給を通すのが難しいため、包囲された部隊は風前の灯火だったはず。あるいは、師団の大部分が集結している部隊マーカー内のユニットをやや分散させて、包囲網を厚くしておくという手もあったかも。
 よって、その裏のドイツ軍ターンはこの米軍の弱点を突く作戦ということになると思いました。後方に位置している第9装甲師団を赤い矢印のように突っ込ませて解囲に成功すれば、連合軍の進撃を遅らせられるだけでなく、西方防壁以東の米軍すべてを補給切れにできることになります。
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 というわけで、2ターン目の作戦を検討してみました。米軍としてはこの包囲網を壊滅させないとピンチに陥るので、とにかくオーバーランで破壊を試みることになるかと思います。機甲師団の目の前にはおいしそうな砲兵が居座っているのですが、これらはAR5の突撃砲や捜索大隊が守っているので、手を出すにはちょっと勇気がいるかも・・・。それ以前に、このまかり間違えば大ピンチという作戦計画自体がちょっと勇気ありすぎだったかも、という意見も出ました。
 この状況設定の期間は1ヶ月、終了までは9ターンあるので、もっとじっくりゆっくりでもよかったかも、ということですが、時間があればいずれそのあたりも試してみたい気がします。

 さて、一方のドイツ軍としてはこのあとどうするべきか。上の図では少しでも予備兵力を捻出すべく、北翼の陣地を放棄してローア川まで防衛戦を下げることを検討。南翼はヒュルトゲン樹林で遅滞戦術をとりつつ、最終的にはローア川のいずれか一方は米軍に橋頭堡をつくられても仕方ない、という考え方がよいのではという感じでした。
 図では見にくいのですが、米軍の勝利条件はローア川の渡河点3つすべてを占領することなので、ドイツ軍としては一つでも守り切れればよいという考えです。

 まぁ作戦のゆくえはともかく、この序盤の検討だけでもBtRの米軍による砲爆撃のすさまじさは体感できました。航空戦力もすごいのですが、米軍はともかく各司令部に36攻撃力の砲兵群が常に2個、場合によってはそれに100攻撃力を超える砲兵師団やロケット砲などが付属します。
 上記の戦闘でも絨毯爆撃と航空攻撃は補給を消費しませんが、砲兵の攻撃4個で4SPという膨大な補給を消費してしまうわけで、米軍の火力だけでなく補給力も大戦末期にはその実力を発揮するということかも。

 ともあれ、BtRには他にも魅力的な状況設定が含まれているので、戦役ゲームは難しくても、そうした作戦シナリオだけでももっと触ってみたいと思った次第です。

 お相手くださったKotatuさんおよびSinさん、ありがとうございました。それと場所は違えど、毎年のように猿遊会と同じ日にこっそり行われる分科会ともいうべき集まりを、快く許してくださるたかさわさまにも感謝です。

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