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TAMIYA 1/700 戦艦大和の製作(その3) [NavyVessels]

 制作中のタミヤ1/700大和、先日の艦橋に続いて3基の主砲塔を組みたてました。
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 キットの主砲は一体成形の砲塔に3本の砲身と左右の測距儀を接着することで組み上がります。砲塔だけだとわかりにくいですが、さすがの46cm三連装砲塔はまさしく巨大だと感じます。
 キットは甲板の砲身基部に軟質樹脂のポリキャップを仕込むことで完成後も簡単に回転させられるようになっています。
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 プラパーツの砲身は基部の防水キャンバスもきれいにモールドされていますが、砲口は空いていません。いつもならこの部分を黒く塗ってごまかすところですが46cm砲はさすがに大きくて目立つので、稚拙ながらドリルとヤスリを使って砲口を少し浚って開いているようにしてみました。
 いちおう千枚通しで中央にガイドとなるマークを掘り、そこへドリルを当てたのですが、中心を捕らえるのはけっこう難しいといつも思います。キットには砲身が10本入っているのですが、案の定1本失敗してしまい、予備があって助かった次第です。
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 艦橋、主砲塔に加え、対空機銃座やクレーンなども組み立て、一体成形のカタパルトと15cm副砲塔も塗装に備えてクリップで挟みました。1944年末~45年の仕様なので、さきほど組みたてた主砲塔のうち2番と3番砲塔にも上部に穴を空け、対空機銃を取りつけました。
 しかしこんなところの対空銃座は主砲射撃時には大変なことになると思うので、発射時には梯子を下りて砲塔内に非難するのでしょうか? 興味深いです。

 というわけで、これらのパーツは船体と同時に塗装するつもりなので、次の作業は船体と甲板および船底の接着ということになります。

TAMIYA 1/700 戦艦大和の製作(その2) [NavyVessels]

 先日製作を開始したタミヤ1/700の戦艦大和は、まず甲板中央部にそびえ立つ艦橋と煙突を組みたてました。
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 上の画像は中央の一段高い甲板に組みたてた艦橋と煙突を取りつけたところです。
 大和の上部構造物は艦橋と煙突、そして前後のマストや測距儀、対空兵装などがすべて非常に密集して装備されているのが特徴で、これが大和級のシルエットを形作る大きな要因となっているのですが、組みたてていくと改めてその密集度に驚きました。
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 大和級の戦艦は、その設計コンセプトのひとつに「集中防御」というのがあって、これは船体においてボイラーやタービン、弾薬庫といった重要な機関がある部分に限定して重装甲を施す設計方針を表すものと記憶しているのですが、大和の場合は1番砲塔から3番砲塔までの間が重装甲区画ということになります。
 通常の戦艦ですと前後のマストや煙突の間にはそれなりの間隔が空いているのが普通なのですが、大和の場合はブリッジのすぐ後ろに2本の煙突が1本にまとめられて伸びていて、後部マストは煙突のこれまたすぐ後ろ、測距儀のある後楼も後部マストと接近していて、非常に密度が高い感じがします。
 増設されたものも含めて対空兵装は高角砲が12基24門、3連装の25mm対空機銃は甲板にもありますが、この上部構造物の部分だけでも18基54門が設置されています。
 キットでは上の画像の部分だけで150近いパーツがあり、組立には少々時間がかかりましたが、構造物の形状や仕組みが徐々にわかってくるその楽しさは格別でした。yamato006.jpg
 反対側から見た上部構造物。次の作業は甲板と船体を接着し、この構造物を甲板に取りつけて基本形状の完成ということになるのですが、塗装の手順を考慮して、あとでこの状態のまま船体色のグレーを吹きつけようと思っています。
 というわけでブリッジはこのまま放置し、次は巨大な3基の主砲塔、および船体の製作へ進もうと思います。

TAMIYA 1/700 戦艦大和の製作(その1) [NavyVessels]

 先日の名取でちょっと艦船模型づいてしまい、いつかつくろうと以前購入していた同じタミヤ製の戦艦大和の箱を開けました。
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 おそらく我が国ではもっとも有名な戦艦のひとつであり、今日においても艦種としての戦艦では世界最大であろう大和級はプラモデル黎明期からたくさんのキットが発売されてきたかと思います。
 私も子供のころにやはりタミヤが出していた1/700の武蔵はいちど作ったことがあるのですが、大和は今日まで手を着けていませんでした。
 今回製作する大和は1990年代の終わりごろにリニューアルされたらしい新版で、タミヤのキットを網羅した本を見ると70年代の旧版とは甲板の木張部分の面積をはじめ細かいところが数多く修正されているようです。
 タミヤの大和はフィリピン作戦後に対空機銃が増設された最終状態を再現しているようです。上のタミヤ本では初代の大和はこのキットよりも両舷の機銃が少ないレイテ海戦のときを再現しているようですね。
 ちなみに姉妹艦の武蔵は両舷にも副砲がある新造時を再現していて、実は子供のときはそっちのほうが好きでした。いまは両方好きです。
 なおこのキットでは武蔵とコンバーチブルにするため甲板の裏から穴を開けて取りつけるようになっているので、両舷の機銃を前後両端のみ取りつければフィリピン作戦時にもできるようです。

 というわけで、さっそく作っていこうと思います。なお前回の名取は筆塗りで仕上げましたが、大和はさずがに船体が巨大なので、エアブラシをメインに使おうと思っています。
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 まず説明書を眺めて、どのような手順で組みたてるのがよいか検討してみました。で、おそらく構造物が密集している中央上部、および3基の主砲塔をまず組みたて、船体と上部構造物を別々に塗装してから貼り合わせるというのがよさそうだと判断しました。
 上の画像は左右貼り合わせの箱形艦橋と煙突を組みたてた状態で、この3パーツを合体させ、そこへ探照灯や高角砲、機銃、測距儀、マストといった小さいパーツを盛り上げていく感じになります。
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 そしてこちらが船体。大和というと上から視たときに後方の航空デッキが左右に張り出していて、ちょっと見るとホームベース型というか、艦首から徐々に拡がっていく船体が途中から左右平行となり、最後に艦尾ですとんとすぼまっているように見えるわけです。
 しかしキットの艦底パーツ(正確には喫水線部分)のシルエットを見ると、船体そのものは他の戦艦と同じく木の葉型の形状なのがよくわかります。この複雑な船体のデザインも大和の魅力のひとつかもしれないな、と感じました。それにしても太い船体です。

 今回は第1回なのでキットパーツを大まかに見ただけですが、次回からはまず艦橋と煙突を軸に、上部構造物を組みたてていきたいと思います。

TAMIYA 1/700 軽巡洋艦名取の製作(その9) [NavyVessels]

 先日、だいたいの塗装を終えたタミヤ1/700軽巡「名取」に、簡単にではありますが空中線を張ってみました。
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 使用したのはこれまたごく簡単に裁縫用のナイロン糸。艦船モデルの張り線に使う素材には伸ばしランナーから釣り用のナイロンテグス、最近では鮎釣り用の金属テグスを模型用にした製品などいろいろあります。
 記録写真などを見る限り、1/700スケールでは空中線はなにを使っても若干オーバースケールになるような気はしますが、これがあると一気に工作した感あるいは密度感、というか単純に船っぽさが増すので、厳密に実際の艦と同じでなくとも、雰囲気だけでもいいかな、と思って作業してみました。
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 また、併せて箱絵にあるような前後マストのキャンバス表現として白を差してみました。

 日本海軍の軽巡キットを製作するのは何十年ぶりか、という感じですがなかなか楽しい作業でした。細かい改造やディテールアップ、精密な塗り分けなどを考えると艦船模型はいろいろ大変なのかもですが、あまり深く考えずに手を動かすのは楽しく、完成品もなかなかかっこよく仕上がってので、これからももっと艦船模型を作りたいな、と感じています。

TAMIYA 1/700 軽巡洋艦名取の製作(その8) [NavyVessels]

 制作中のタミヤ1/700軽巡「名取」は、現在簡単にではありますが空中線を張る作業を行っています。とりあえずその直前の段階、つまり基本工作と塗装を終えた時点の画像を上げておこうと思います。
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 ここまで無改造、ディテールアップなしの素組みで、塗装は艦載艇と艦載機以外をすべて組みたて後に行い、下地の黒サフ以外はすべて筆塗り。塗料はほとんど水性アクリルで、ウェザリングに一部エナメルカラーを使用しました。

 長良型の船体が美しいので、この状態でもかなり満足のいく仕上がりになっています。このあと張線がうまくできたら仕上げた状態をアップしようと思います。

TAMIYA 1/700 軽巡洋艦名取の製作(その7) [NavyVessels]

 Baptism by Fireのユニットカウンターが間に入ったので止まっていたタミヤ1/700の軽巡「名取」は、船体に軽くウェザリングをした状態まで進んでいます。
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 ウェザリングといっても頻繁に清掃や再塗装が行われいたと思われる戦前の状態を再現しているので、さほど激しい汚れ、ましてや錆はないほうがいいかなと思い、演習など日常的な運行を想定した軽い汚しを加えてみました。
 パッケージアートを見ると、日射避けの白いキャンバスがマストの見張り台などいくつかの場所に描かれているので、写真などを参考にして描き加えるか考えようと思います。
 また仕上げにはいちおう軽く張り線も取りつけてみようとは思っています。

Baptism by Fireユニットカウンター紹介(その7) [ウォーゲーム]

 数回にわたって続けてきた、BCS第2作「Baptism by Fire」のユニットカウンター紹介も、今回でいちおう最終回となります。
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 最後に見ていくのは、連合軍側の米軍以外の諸部隊です。カセリーヌの戦いというと「米軍苦戦」というイメージで語られることが多いらしいですが、イギリス軍およびフランス軍も作戦に参加し、枢軸軍との戦闘でも重要な役割を果たしていたようです。
 米軍以外の連合軍部隊は複数ユニットからなるフォーメーションが3つ、および独立ユニットが1個です。

 「Nick」と記載された部隊は「ニックフォース」と呼ばれた任務部隊で、イギリス陸軍の第6機甲師団に所属する第26機甲旅団を中核とし、その名称は第6機甲師団長だったキャメロン・ニコルソン准将に由来すると本作のヒストリカルノートに書かれていました。
 イギリス軍の各連隊は、番号だけの米軍とは異なり、それぞれ特徴的な部隊名称を有しています。ユニットを左から順に見ていくと、まず「17/21L」は第17および第21竜騎兵連隊が部隊統合によって一つの戦車大隊となったもので、当初はインドに駐留していましたが、本国へ帰還した後に北アフリカへ投入されたようです。当時の装備車両はヴァレンタインIIIとクルセーダーIIIでした。
 2つめの「2 Loth」は第2ロジアン&ボーダーホース(ヨーマンリー)連隊で、1940年には車両不足を理由に第1自動車化機関銃旅団と呼ばれた部隊に所属していましたが、その後この旅団は第26機甲旅団へ名称変更となり、第6機甲師団を構成する戦車旅団となりました。装備していた戦車は上の槍騎兵と同じです。
 「10 Rifles」はライフル旅団第10大隊のことです。「ライフル旅団」と呼ばれる部隊はイギリス陸軍には1個しかなく、これはもともとナポレオン戦争時代に第95ライフル連隊(ショーン・ビーン演じる勇者シャープがかつて所属していた精鋭部隊ですね)と呼ばれて半島戦役などでフランス軍相手に活躍し、終戦後にライフル旅団と名称が変更になりました。
 この旅団は全部で10個大隊からなり、第1次、第2次世界大戦にはその多くがさまざまな部隊に配属されて作戦に参加しました。第10大隊も第6機甲師団の自動車化歩兵部隊として北アフリカに上陸しました。
 実は、この第10大隊のゴア大隊長は、配下の歩兵中隊1個と、ロジアン&ボーダースの戦車中隊1個を与えられ、このユニットとは別に「ゴアフォース」と呼ばれた諸兵科連合の大隊規模タスクフォースを編成していました。上の画像の上段右端にあるのがそれで、本作では独立ユニットとして扱われています。
 このユニットに兵力を割いたため、第2ロジアン戦車大隊は17/21ランサーズより1ステップ少ないわけですね。
 このタスクフォースの最後のユニットは「2/5 Le」と書かれたユニットで、これは第5レスターシャー連隊第2大隊という郷土防衛隊に属するユニットで、ヒストリカルノートによれば米軍の州兵に準ずる組織であるとされています。
 この部隊はもともと第46歩兵師団に所属しているのですが、前線の歩兵戦力を増強するために急遽送り込まれたもので、実戦経験は皆無、緒戦で大きな損害を出したとされています。

 続いて画像の2段目に並んでいるのが「第1近衛旅団」です。上のライフル旅団同様、近衛旅団もナポレオン戦争以前からの歴史がある由緒ある部隊で、第78歩兵師団に所属してトーチ作戦に参加しました。
 カセリーヌへは独立旅団として送り込まれ、旅団の中核となったのは中程にいる2個の赤いユニット、第3グレナディアガードと第2コールドストリームガードです。これに加え、もう1つの歩兵部隊として右端の第2ハンプシャーも配属されています。
 機甲兵力は「142RAC」と「16/5L」で、前者はチャーチル重歩兵戦車を装備した第25戦車旅団所属の「ロイヤルアーマードコー(王立戦車軍団)第142大隊」です。
 後者はニックフォースと同じ第6機甲師団の第26機甲旅団に所属する第16/5槍騎兵連隊で、これも「17/21」同様、2つの騎兵連隊を統合したユニットです。
 左端にいる2個の対戦車砲ユニットは、いずれも王立砲兵軍団直属の対戦車砲大隊で、当時配備が進められていた6ポンド牽引砲を装備していました。6ポンド砲というと口径はおよそ57mm対戦車砲相当で、クルセーダーIIIやヴァレンタインIIIの主砲と同レベルの火力を有し、このころの米陸軍の対戦車砲部隊よりは優秀だったといえるかもしれません。
 さて、最後にご紹介するのが、ウェルヴェール将軍率いるフランス軍部隊なのですが、この部隊の由来はちょっと特殊です。
 第二次世界大戦後半に登場するフランス軍といえばたいていはド・ゴール将軍率いる「自由フランス軍」であることが多いのですが、このタスクフォース・ウェルヴェールはもともとアルジェリアに配備されていた第19軍団という、枢軸同盟国のヴィシーフランス軍部隊で、上陸してきた連合軍側に寝返ったばかりでした。
 部隊名となったウェルヴェール将軍は「ディヴィジョン・ド・マルシュ・ド・コンスタンティン(DMC)」という臨時編成の師団長で、このタスクフォースには同師団配下の第7アルジェリア歩兵連隊の3個大隊、および米陸軍の第34歩兵師団に属する第168連隊第1大隊、そして映画「プライベート・ライアン」にも登場する米陸軍の第1レンジャー大隊が加わっています。
 北アフリカのヴィシーフランス軍部隊は装備が劣悪で戦意も低かったとされていますが、ウェルヴェール将軍は連合軍に積極的に荷担する人物だったようで、登場する第7アルジェリア連隊も兵力こそ少ないですがアクションレーティングはさほど悪くありません。
 ただ部隊が本国から切り離され、後方組織を有さないがゆえに、配属されたレンジャー大隊同様補充ポイントを受け取ることはできないよう指定されています。

 史実では、これらの連合軍部隊はカセリーヌ峠をはじめとする各地点の隘路を防御したり、米軍機甲部隊を背後から援護したりといった使われ方をしたようですが、こうしてみるとなかなかバカにできない戦力を有しています。
 連合軍プレーヤーとしては主力の米軍戦力にやや不安があるだけに、これらの部隊をどう活用するかが気になるところではないかと思います。

 というわけでBaptism by Fireの枢軸軍、連合軍双方のユニットカウンターをこれですべて見てきました。
 前作のLast Blitzkriegが地図4枚、ユニットカウンター800個オーバーだったのに対して本作は地図2枚、ユニットカウンター120個とかなり規模が小さく、手軽にプレーできそうな感じです。
 大隊レベルの諸兵科連合作戦を再現するため、独創的なゲームシステムを有するシリーズなので、このくらいの規模の作品が習熟するというのはちょうどよいのかもしれません。

 個人的にも、さっそくソロプレーを試みてみようと思った次第です。

Baptism by Fireユニットカウンター紹介(その6) [ウォーゲーム]

 前回の第1、第34歩兵師団、および前々回の第1機甲師団に続いて、今回はBaptism by Fireに登場するもうひとつの米軍部隊を取り上げようと思います。
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 上の画像は上段が「タスクフォース・スターク」、下段の3ユニットはどの部隊にも所属せず、軍団司令部直属となっている独立ユニットです。
 TFスタークは第26歩兵連隊長スターク大佐を司令官とする各師団の寄せ集めで、日本陸軍的にいえば「独立混成旅団」という体の部隊です。
 ユニットカウンターを順に見ていくと、1/13は第1機甲師団の第13戦車連隊第3大隊所属のI中隊、第805独立戦車駆逐大隊、第1歩兵師団第26歩兵連隊の第1大隊、第9歩兵師団第39歩兵連隊第3大隊、さらに第19独立工兵連隊のうちの4個中隊が2個中隊ずつ2ユニットになっています。
 スターク大佐はこの戦力でカセリーヌ峠に防御陣地を敷き、ドイツ軍装甲部隊を待ち受けました。兵力は戦車1個中隊(シャーマン戦車約15-17両)、対戦車自走砲1個大隊、(工兵を含む)歩兵10個中隊、そして(ユニットには表されていない、あるいは含まれている)重火器と支援砲兵となります。
 第805戦車駆逐大隊はもとも第34歩兵師団に所属していましたが、カセリーヌ峠の戦いの時点では第1機甲師団隷下となったもののTFスタークに配属され、ここで大損害を被りました。
 装備も本作で扱う期間まではM3ハーフトラック搭載の75mm砲ですが、この戦いの翌月にはM10対戦車自走砲が配備され、イタリアへ進撃後は一時的に牽引砲装備となったあと、最終的にM18ヘルキャットへと更新されました。
 チュニジア作戦はもとより、米軍の独立戦車駆逐大隊は多くの場合歩兵師団に配属され、中隊または小隊ごとに分割されて、各歩兵大隊に分遣されました。BCSでも戦車駆逐大隊は「機甲戦力値(Armor Value)」が白抜きで書かれていて、これが「限定AV」であることを示しています(AVが赤で記載されているユニットはより強力な「実AV」です)。
 限定AVは攻撃力が低く、集中使用するよりも所属部隊の各ユニットに支援を提供する「サポート」状態で用いる方が効率的です。ドイツ軍のマーダー対戦車自走砲は移動サイドでは戦力集中していますが、展開サイドになるとサポート専用部隊となり、戦力が白抜きの2から赤の3へと大幅にアップします。しかし、まだ諸兵科連合先述に不慣れな米軍では、移動サイドでの戦力は1、裏面の展開サイドになっても数値が1上昇するだけで、限定AVのままです。
 戦車駆逐大隊は3個中隊編成で、定数では対戦車自走砲または牽引式対戦車砲36門を装備するはずですが、このユニットのステップ数は2なので、おそらく定数の2/3程度の稼働数だったと評価されているように思います。
 第19工兵大隊はカセリーヌ峠に塹壕構築と地雷敷設のために送り込まれた部隊でしたが、ドイツ軍の攻撃に際し居残って防御戦闘に参加しました。そのような戦闘訓練は受けていない部隊なのでユニットの質を示すアクションレーティングは最低の1です。
 それでもこの工兵大隊がいるおかげでTFスタークの歩兵は3個大隊つまり1個連隊相当の歩兵と戦車と対戦車砲を装備する「諸兵科協同の増強旅団」程度の戦力を有していたことになるかと思います。
 専用ルールの史実解説を読むと、この部隊にはさらに第1機甲師団の機械化歩兵や別の戦車駆逐大隊なども配属されていたようです。

 さて、BCSでは各ユニットは基本的に師団またはカンプグルッペのような「部隊(フォーメーション)」に属し、フォーメーション単位で活動するのですが、一部にどのフォーメーションにも属さない独立ユニットや、軍団など上級司令部に所属する直属砲兵が与えられる場合があります。
 本作の米軍では上の画像の下段にある第894戦車駆逐大隊と「Prov」と記載された独立戦車大隊、そしてTFスタークに配属された1個大隊しか登場しない第9歩兵師団の師団砲兵隊が、この独立ユニット(砲兵の場合は上級アセット)として登場します。
 「Prov」はProvisional(暫定)の略で、ゲームでは初期配置の状態でデッドパイルに置かれています。これは緒戦で撃破された戦車大隊の残余を寄せ集めた部隊で、ゲーム的には補充ポイントを用いて編成するように定められています。
 第9歩兵師団の師団砲兵は連隊長の「レッド」アーヴィンの指揮下に第34、第60、第84野戦砲兵大隊(第34のみ155mm他は105mm砲装備)と75mm砲装備のカノン砲中隊2個を有していました。
 第9歩兵師団は北アフリカに遅れて上陸し、まだ戦力集結を終えていなかったのですが、ドイツ軍の攻撃に対抗するため砲兵のみ前進させ、他の師団への火力支援を柔軟に行い大きな助けとなったようです。史実解説にはこの砲兵連隊の指揮官アーヴィン大佐は、後に第5歩兵師団長となったと記されています。

 次回は本作のユニット紹介の最終回として、米軍以外の連合軍部隊に属する各ユニットを見てみようと思います。

Baptism by Fireユニットカウンター紹介(その5) [ウォーゲーム]

 前回の第1機甲師団に続き、Baptism by Fireに登場する連合軍部隊第2弾は、やはり米軍の、今度は歩兵師団を見ていこうと思います。

 トーチ作戦以降、チュニジア方面には全体を統括する第18軍集団の下にイギリス第1軍司令部があって、その下にイギリス第5軍団、フランス第19軍団、そして米陸軍は第2軍団司令部と第1機甲師団と第1、第3、第9、第34の4個歩兵師団(および第82空挺師団の一部の部隊)が参加していました。
 ただし、このうちフリーデンダール将軍率いる第2軍団の配下となってカセリーヌ方面の前線に進出していたのは、第1と第34の2個師団だけだったようです。本作に登場する師団司令部もこの2個師団だけですが、いずれの部隊もカセリーヌの戦いにおいては、まとまった形では投入されませんでした。
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 上の画像を見ると、いずれの師団の司令部も部隊規模が「XX(-)」となっており、第1歩兵師団は第16歩兵連隊と第26歩兵連隊の1個大隊のみ、第34歩兵師団は第133、135の2個連隊しか配属されておらず、第196歩兵連隊がいない代わりに第1歩兵師団の第18歩兵連隊が編入されています(第18歩兵連隊の上級部隊が「(34 inf)」と括弧付きになっているのは、もともと第1歩兵師団の所属であることを示しています)。
 第1歩兵師団「ビックレッドワン」は米陸軍の常備師団で、第1次世界大戦時に創設されて以来、今日まで一貫して現役状態にある部隊です。第2次世界大戦では本作で扱う北アフリカ作戦に始まり、シチリア、ノルマンディーと2つの強襲上陸作戦に参加、その後もコブラ作戦、アーヘン攻略、そしてバルジの戦いなど、いくつもの激戦に投入されました。
 カセリーヌの戦いは本師団にとっても初陣といってよい作戦でしたが、機甲戦術という新しい概念を模索しているところだった第1機甲師団とは異なり、十分に訓練を積み基本的な歩兵戦術も身につけていた米歩兵部隊として、ユニットカウンターの数値では平均的な優良部隊として扱われているように思います。
 画像に映っていない第26歩兵連隊の第1および第3大隊ですが、第1大隊は次回に紹介しようと考えている「タスクフォース・スターク(こじょTFを指揮する第26歩兵連隊長に由来)」の中核部隊として分遣されており、第3大隊は「タスクフォース・ボウエン」として本作で扱う範囲のさらに南側の峠を守るために分派されていたようです。
 師団にはもうひとつ、第1工兵大隊が所属していますが、最前線での爆破や架橋任務を担っていたドイツ軍の戦闘工兵とは違い、当時の米軍工兵は後方での建設作業や地雷敷設などを任務としていたようです。
 もっとも戦史などを読むと、それにもかかわらず急を要する状況下では自身が建設した防御陣地で、不慣れな防御戦闘を強いられることも多かったように思います。

 陸軍正規の常備師団である第1歩兵師団に対して、第34歩兵師団はノース・ダコタ、サウス・ダコタ、ミネソタ、アイオワの各州の州兵(National Guard)を集めて編制された州兵師団でした。
 この師団はイギリス軍司令部に配属されて配備地の北アイルランドからアルジェリアに上陸、チュニジアでの初陣を経たのちも地中海戦線に留まり、イタリア半島のサレルノ上陸、グスタフラインの攻防ではモンテ・カッシノを巡る作戦に参加し大損害を被り、後方で再編成を行った後に今度はアンツィオ橋頭堡へ投入されました。
 その後もローマやボローニャの占領に関わったこの部隊には、日系二世の兵士で編成された第442連隊が配属されていたこともあったようです。

 本作の部隊編成には先述の第1歩兵師団から編入された第18歩兵連隊のほかに、第135歩兵連隊および第133歩兵連隊の第1、第3大隊が所属しています。欠けている第133連隊の第2大隊は、この作戦期間中「3/26」と同じく本作の地図外に配備されていたようです。
 第34歩兵師団にはさらに第168歩兵連隊も所属していましたが、同連隊の第1大隊はこれも後述するフランス軍の「TFウェルヴェール」に分遣され、第2、第3大隊は前回ご紹介したように第1機甲師団のCCAに配属され歩戦協同のタスクフォースを編成していました。

 第1歩兵師団と同様、第34歩兵師団にも第109工兵大隊という工兵部隊が所属していました。この部隊もカセリーヌの戦いには参加しているのですが、おそらく中隊毎に各歩兵連隊に分散して配備されたため、ユニットカウンターには表されていないのだと思います。ネットで少し調べたら、C中隊は第168歩兵連隊の一部とともにファイド峠の戦闘に加わっていたという記述を見つけました。

 というわけで、次回は第1歩兵師団から分遣されたタスクフォース・スタークと、少数の米軍独立ユニットを見ていこうと思います。

Baptism by Fireユニットカウンター紹介(その4) [ウォーゲーム]

 BCSシリーズ第2作、Baptism by Fireのユニットカウンター紹介。今回から連合軍側の部隊へ移ります。最初は本作の一方の主役ともいうべきアメリカ陸軍の第1機甲師団を見ていこうと思います。

 第1機甲師団「オールド・アイアンサイド」はその名の通り、米軍で最初に編成された機甲師団のひとつです。この師団はトーチ作戦により北アフリカに上陸した後、本作で扱うカセリーヌの戦いが初陣といってよい作戦となり、ここでドイツ軍、しかもロンメル配下のアフリカ軍団を含む部隊に手痛い「砲火の洗礼(これが本作のタイトルとなっています)」を受けたことで知られています。
 チュニジアの、特にカセリーヌの戦いは米軍機甲部隊の訓練と戦術が最初に試された戦場だったということです。
 第1機甲師団はその後も地中海戦線に留まったので、ノルマンディーやバルジの戦いに登場する第2、第3機甲師団ほど有名なエピソードに恵まれず、ここでの「やられ役」の印象がなおさら強いのかもしれませんが、作戦は最終的には連合軍の勝利であり、またここでの戦訓は後の欧州戦線、さらには今日の米軍機甲部隊の編成や戦術に大きな影響をもたらしたともいえるかと思います。
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 さて本師団の編成ですが、よく知られているのは米軍の第1~第3機甲師団は1942年型と呼ばれる戦車装備数が多い旧式の編成で、第4機甲師団以降は戦車大隊と歩兵大隊が同数のコンバットコマンド編成となる、ということです。
 しかし、ではその旧式編成の機甲師団は実際にはどのような戦い方をしたのでしょうか。そのあたりが本作のひとつのテーマといえるかもしれません。
 第1機甲師団の正規の編成は第1、第13機甲連隊(各3個大隊)と、第6機甲歩兵連隊(3個大隊)、第81機甲騎兵大隊および機甲砲兵連隊からなります。
 各戦車連隊は第1大隊がM3軽戦車、第2、第3大隊がM4またはM4A1中戦車(2/13のみM3リー)を装備していたようです。
 これらの部隊はコンバットコマンドAからC(のちにD)という戦闘団に再編成されました。欧州戦線でおなじみの「CCR(予備コンバットコマンド)」がないのが興味深いです。
 各CCの司令部はドイツ軍のカンプグルッペと同じく中軸となる戦車連隊や歩兵連隊の司令部が臨時で充てられていたらしく、CC独自の司令部はまだ創設されていなかったようです。
 さて、戦車6個、歩兵3個大隊という戦力ですから歩兵が足らないのは現代の私たちの目には明白です。米軍も歩兵不足は早々に認識していたようで、師団には隣接する歩兵師団から戦力を編入していました。
 主攻撃戦力を担うCCAは師団所属の偵察部隊である第81機甲騎兵大隊、戦車部隊は第1機甲連隊の第3大隊、第13機甲連隊の第1、第3大隊という師団の戦車大隊の半数が配属されています。
 これらの機甲大隊のユニット規模が「II(-)」となっているのは、1/3はすぐ下のG中隊をTFウォータースに、1/13はTFカーンに、3/13はあとでご紹介するTFスタークに、それぞれ1個戦車中隊を分遣しているため戦力減少状態にあることを示しています。
 一方の歩兵はユニットに部隊名が入っているのは「3/168」で、これは第9歩兵師団から編入された歩兵大隊です。実は「Waters」および「Drake」と記された歩兵タスクフォースも、それぞれ第168歩兵連隊の第2大隊主力と、そこから分遣されたE中隊が配属されています(この連隊の第1大隊はあとで紹介するフランス軍部隊に編入されています)。
 1個だけ別のユニットになっている第1機甲連隊のG中隊(G/1)はTFウォータースを支援するよう配属されていたのですが、当時、歩兵師団の各大隊は戦車中隊との共同戦術を訓練しておらず、このタスクフォースは諸兵科連合部隊とはいえず、ただの寄せ集めだったようで、G/1が別ユニットになっているのはそのちぐはぐさを再現しているようです。
 「TF Kern」は師団所属の第6機甲歩兵連隊第1大隊に第13機甲連隊第1大隊の軽戦車1個中隊を配属した諸兵科連合部隊で、第81機甲騎兵連隊とともにこの部隊では珍しいデュアルユニットになっています。
 この部隊は作戦開始当初はCCAの予備戦力として後方に据え置かれていて、その地点は「カーンの十字路」として戦史に残り、本作の地図上にも記載されています(ヘクス23.16)。
 CCAには他に独立第701駆逐戦車大隊が配属されていますが、当時の装備車両はM3ハーフトラックの車台にフランス製の75mm砲を搭載したもので、バルジの戦いで活躍するM10駆逐戦車はまだ配備されていなかったようです。
 まとめると、同師団のCCAはユニット数が10個と強力に見えますが、実は連携がうまくいっていない4個のタスクフォースプラス偵察大隊、という編成であることがわかります。

 これはCCBとCCCも同様で、それぞれ師団配下の機甲騎兵各1個大隊に中戦車大隊1個を組み合わせた編成になっていて、CCBには加えてやはり対戦車ハーフトラック装備の独立駆逐戦車大隊が配属されています。
 CCB所属の第13戦車連隊第2大隊(2/13)は、先に述べたように旧式のリー戦車を装備していましたが、史実ではなかなかに善戦したらしく、本作でもアクションレーティングが最強の「4」を与えられています。

 こうしてみると、当時の第1機甲師団は第34歩兵師団第168連隊から歩兵2個大隊、および独立駆逐戦車大隊2個を増強され、代わりに戦車1個中隊を別の師団のタスクフォースに分遣しつつ、師団全体で3個のコンバットコマンド、7個のタスクフォースを形成している、といえるように思います。

 画一的に扱われることの多い第二次世界大戦時のアメリカ軍をなかなか個性的に再現しているBCSはほんとに興味深いと感じています。

 次回は同じ米軍の今度は歩兵師団所属の部隊を見ていこうと思います。

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