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Baptism by Fireユニットカウンター紹介(その4) [ウォーゲーム]

 BCSシリーズ第2作、Baptism by Fireのユニットカウンター紹介。今回から連合軍側の部隊へ移ります。最初は本作の一方の主役ともいうべきアメリカ陸軍の第1機甲師団を見ていこうと思います。

 第1機甲師団「オールド・アイアンサイド」はその名の通り、米軍で最初に編成された機甲師団のひとつです。この師団はトーチ作戦により北アフリカに上陸した後、本作で扱うカセリーヌの戦いが初陣といってよい作戦となり、ここでドイツ軍、しかもロンメル配下のアフリカ軍団を含む部隊に手痛い「砲火の洗礼(これが本作のタイトルとなっています)」を受けたことで知られています。
 チュニジアの、特にカセリーヌの戦いは米軍機甲部隊の訓練と戦術が最初に試された戦場だったということです。
 第1機甲師団はその後も地中海戦線に留まったので、ノルマンディーやバルジの戦いに登場する第2、第3機甲師団ほど有名なエピソードに恵まれず、ここでの「やられ役」の印象がなおさら強いのかもしれませんが、作戦は最終的には連合軍の勝利であり、またここでの戦訓は後の欧州戦線、さらには今日の米軍機甲部隊の編成や戦術に大きな影響をもたらしたともいえるかと思います。
BbF_1Arm.jpg
 さて本師団の編成ですが、よく知られているのは米軍の第1~第3機甲師団は1942年型と呼ばれる戦車装備数が多い旧式の編成で、第4機甲師団以降は戦車大隊と歩兵大隊が同数のコンバットコマンド編成となる、ということです。
 しかし、ではその旧式編成の機甲師団は実際にはどのような戦い方をしたのでしょうか。そのあたりが本作のひとつのテーマといえるかもしれません。
 第1機甲師団の正規の編成は第1、第13機甲連隊(各3個大隊)と、第6機甲歩兵連隊(3個大隊)、第81機甲騎兵大隊および機甲砲兵連隊からなります。
 各戦車連隊は第1大隊がM3軽戦車、第2、第3大隊がM4またはM4A1中戦車(2/13のみM3リー)を装備していたようです。
 これらの部隊はコンバットコマンドAからC(のちにD)という戦闘団に再編成されました。欧州戦線でおなじみの「CCR(予備コンバットコマンド)」がないのが興味深いです。
 各CCの司令部はドイツ軍のカンプグルッペと同じく中軸となる戦車連隊や歩兵連隊の司令部が臨時で充てられていたらしく、CC独自の司令部はまだ創設されていなかったようです。
 さて、戦車6個、歩兵3個大隊という戦力ですから歩兵が足らないのは現代の私たちの目には明白です。米軍も歩兵不足は早々に認識していたようで、師団には隣接する歩兵師団から戦力を編入していました。
 主攻撃戦力を担うCCAは師団所属の偵察部隊である第81機甲騎兵大隊、戦車部隊は第1機甲連隊の第3大隊、第13機甲連隊の第1、第3大隊という師団の戦車大隊の半数が配属されています。
 これらの機甲大隊のユニット規模が「II(-)」となっているのは、1/3はすぐ下のG中隊をTFウォータースに、1/13はTFカーンに、3/13はあとでご紹介するTFスタークに、それぞれ1個戦車中隊を分遣しているため戦力減少状態にあることを示しています。
 一方の歩兵はユニットに部隊名が入っているのは「3/168」で、これは第9歩兵師団から編入された歩兵大隊です。実は「Waters」および「Drake」と記された歩兵タスクフォースも、それぞれ第168歩兵連隊の第2大隊主力と、そこから分遣されたE中隊が配属されています(この連隊の第1大隊はあとで紹介するフランス軍部隊に編入されています)。
 1個だけ別のユニットになっている第1機甲連隊のG中隊(G/1)はTFウォータースを支援するよう配属されていたのですが、当時、歩兵師団の各大隊は戦車中隊との共同戦術を訓練しておらず、このタスクフォースは諸兵科連合部隊とはいえず、ただの寄せ集めだったようで、G/1が別ユニットになっているのはそのちぐはぐさを再現しているようです。
 「TF Kern」は師団所属の第6機甲歩兵連隊第1大隊に第13機甲連隊第1大隊の軽戦車1個中隊を配属した諸兵科連合部隊で、第81機甲騎兵連隊とともにこの部隊では珍しいデュアルユニットになっています。
 この部隊は作戦開始当初はCCAの予備戦力として後方に据え置かれていて、その地点は「カーンの十字路」として戦史に残り、本作の地図上にも記載されています(ヘクス23.16)。
 CCAには他に独立第701駆逐戦車大隊が配属されていますが、当時の装備車両はM3ハーフトラックの車台にフランス製の75mm砲を搭載したもので、バルジの戦いで活躍するM10駆逐戦車はまだ配備されていなかったようです。
 まとめると、同師団のCCAはユニット数が10個と強力に見えますが、実は連携がうまくいっていない4個のタスクフォースプラス偵察大隊、という編成であることがわかります。

 これはCCBとCCCも同様で、それぞれ師団配下の機甲騎兵各1個大隊に中戦車大隊1個を組み合わせた編成になっていて、CCBには加えてやはり対戦車ハーフトラック装備の独立駆逐戦車大隊が配属されています。
 CCB所属の第13戦車連隊第2大隊(2/13)は、先に述べたように旧式のリー戦車を装備していましたが、史実ではなかなかに善戦したらしく、本作でもアクションレーティングが最強の「4」を与えられています。

 こうしてみると、当時の第1機甲師団は第34歩兵師団第168連隊から歩兵2個大隊、および独立駆逐戦車大隊2個を増強され、代わりに戦車1個中隊を別の師団のタスクフォースに分遣しつつ、師団全体で3個のコンバットコマンド、7個のタスクフォースを形成している、といえるように思います。

 画一的に扱われることの多い第二次世界大戦時のアメリカ軍をなかなか個性的に再現しているBCSはほんとに興味深いと感じています。

 次回は同じ米軍の今度は歩兵師団所属の部隊を見ていこうと思います。

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