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Battles for the Ardennes:Sedanをプレー [ウォーゲーム]

 先日に引き続き、近所の集会室でウォーゲームをプレーしました。今回はSPIのBattles for the Ardennesです。
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 本作は1944年のいわゆる「バルジの戦い」を扱ったミニゲーム3種と、1940年のスダン突破を題材にした1種、さらに上記の4枚の地図をつなげて、1940年と1944年のアルデンヌの戦いを両方再現できるという野心的なウォーゲームです。
 基本的な部隊規模は連隊で、これはAH社の「Battle of the Bulge」やエポック社の「バルジ大作戦」、および同じSPIの「Ardenne Offensive」と同スケールといっていいと思います。
 今回はそのうち、1940年の西方戦役における、ドイツ軍のクライスト装甲集団によるムーズ川突破作戦を扱った「Sedan」をプレーしてみました。
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 上の画像は初期配置。ドイツ軍の勝利条件は、地図西端および南端からそれぞれ30戦力分の機械化部隊を突破させ(後者は青丸で囲ったスダンの占領で代替できる)、さらに上の図で赤で囲った4つの町のうち3つを占領するというものです。さらにドイツ軍は自軍の機械化部隊に12戦力を超える損失を出すことは許されません。
 というわけで、ドイツ軍はできるだけ迅速に、かつ徹底的にフランス軍の戦線を突破する必要があります。
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 序盤、第5ターン終了時の状況。ドイツ軍は前線のフランス軍を包囲殲滅しつつ、ムーズ川に向かって前進。対するフランス軍は逃げ切れそうにない前方の部隊にはできるだけ足止めをさせつつ、ムーズ川の支流であるスモワ川の線に防衛戦を布き、できるだけ多くの橋を爆破してドイツ軍の進撃を妨害したいところです。
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 第7ターンの状況。フランス軍はドイツ軍による突破を西方と南方の両方で防がねばならないのですが、漫然と部隊を並べていたら、一瞬の隙に中央に穴が。そこへグデリアン率いる第19軍団とおぼしきドイツ軍が進出してきています。
 このゲームは道路移動率が1で、歩兵部隊の移動力はのきなみ3~5なので、行軍隊形を用いないと迅速な機動はできませんが、行軍隊形で戦闘を行うと戦力半減というジレンマがあります。フランス軍としては予め綿密な計画を立て、捨てるところは捨て、守るところは死守する必要があるかも。
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 穴を塞ぐ間もなく、さらに次のターンには勝利条件の1つであるシャールヴィルの一角に戦車部隊が突入、フランス軍としては「あらら大ピンチ」という感じです。
 とりあえず、突出してきたドイツ軍を孤立させるべく、フランス軍はその両翼に進出しつつ、最重要と思われる交差点に対して、ゲーム中1回だけ行える航空作戦による航空阻止を試みました。
 結局、ひとつ南側の道路を遮断するZOCをユニットで無効化されたため、戦車部隊の補給を遮断するには至らなかったのですが、後続のドイツ歩兵師団の前進をやや遅らせることに成功しました。これは思ったよりもドイツ軍プレーヤーにとっては苦痛だったようです。
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 そしてゲーム終盤、ドイツ軍は西方への30戦力の突破、およびスダン占領を達成。あとは4つの町のうち3つを確保すれば勝利です。
 実はフランス軍プレーヤーは勝手に終了が第10ターンだと誤解していて、守り切ったかな? と油断していまして、ドイツ軍の西方への突破を阻止できませんでした。なにしろシャールヴィルの北側には機動力のある部隊がほとんどおらず、北端の橋梁を1個爆破しただけで全滅し、突破を防ぐ手だてがありません。
 そこで、西方突破の阻止は諦め、なんとか突破部隊の補給線を機甲部隊で脅かしつつ、4つの町のうち2つを可能な限り守るという作戦に出ました。
 南から回り込むフランス軍戦車。この動きは結局後方のドイツ軍部隊に阻止されてしまうのですが、この動きに効果があったのか、それとも有り余るドイツ軍部隊に対しては焼け石に水だったのか。
 本来なら、これらの機甲部隊はスダン周辺に投入してドイツ軍の勝利条件を阻止する試みに使うべきなのかもしれませんが、なにしろスダン周辺のドイツ軍密集度は激しく、手が出せないと感じておりました。
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 というわけで、こちらが終了時の状況。後方へ回り込んだいやがらせ部隊は軒並み包囲され、孤立状態。西方は大きく突破され、2ヶ所の勝利条件を占領されました。
 シャールヴィルは全部で3ヘクスあり、最終ターンの1つ前のターンの攻撃で2ヘクス目を占領されていたら陥落していたかもしれませんが、ここはドイツ軍は橋がない地点での攻撃なので機械化部隊が渡河できず、なんとか守り切りました。
 そして最終ターン、焦点はその北側に位置するモンテルメの町。ここはフランス軍の要塞守備隊が2個いただけなのですが、フランス軍は町の南側の浅瀬も守っており、終了1ターン前にここをドイツ軍戦車が渡河できなかったため、ドイツ軍はモンテルメ攻撃に歩兵2個連隊しかまわすことができません。
 結局、攻撃成功の可能性がある戦力比が立たず、ぎりぎりで勝利条件を達成できないという状況。ゲームはフランス軍の辛勝となりましたが、どちらのプレーヤーも勝利条件や細かいルールを誤解していて、ちょっと錯綜した部分もあったかと思います。

 なお、HJ社製の和文ルールでは、本ゲームの勝利条件は4つの町「すべてを占領」と書かれています。今回は英文ルールの「4つの内3つ」のほうを採用しました・・・、というかプレー途中で気づきました(汗 ドイツ軍プレーヤーはもっと早くこの条件に気づいていれば、守りの堅いシャールヴィルよりモンテルメに戦力を集中したかもしれません。そうなればドイツ軍が勝利していたかも。

 ともあれ、1940年を扱った「Sedan」は、戦力的にはドイツ軍が圧倒的ではありますが、ゲームの展開はそれなりに白熱する興味深いものでした。同じSPIの「南方軍集団」に含まれるキエフ戦もそうですが、一見ワンサイドに見える状況も実際にプレーしてみたいとわからないものだな、と感じた次第です。

 本作は、同一の地図とルールで1940年と44年の2つのドイツ軍攻勢を比較体験できる、というコンセプトでデザインされています。1944年のゲームがなかなか評価が高いため、このことはあまり重視されてこなかったかもしれません。
 ですが、実は意外とこの比較は重要なポイントなのかもしれない、と感じました。1940年と44年のフルキャンペーンもいずれ、ぜひプレーしてみたいと思います。

Ocanaの戦い(Vive l'Empereur) [ウォーゲーム]

 4月30日、練馬でプライベートなゲーム会を開いて、Vive l'Empereurという連隊レベルでナポレオン戦争の諸会戦を扱ったウォーゲームシリーズをプレーしました。
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 このシステムには初挑戦ということもあって、プレーしたのは先日ルールを訳した「Quatre Bataille en Espagne(カトル・バタイユ・アン・エスパーニュ)」のなかのひとつ、1809年晩秋にスペイン軍とフランス軍が衝突し、フランスの勝利に終わった「オカーニャの戦い」です。
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 上の図が初期配置。状況設定としてはフランス軍が攻撃側で、プランス軍プレーヤーはスペイン軍に大損害を与え、少なくともその方面軍戦意を動揺させないと勝利はありません。
 スペイン軍はオカーニャの市街を左翼に、その右側に2列の戦列を布き、両翼を騎兵が援護しています。対するフランス軍も両翼に騎兵を配していますが、歩兵の戦列は1列。兵力では劣るが指揮官と兵の戦意で勝るフランス軍が、スペイン軍戦列をどう崩すのか、というところでしょうか。
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 序盤、フランス軍はまず右翼方面で攻撃を開始、オカーニャの町の両側でスペイン戦列を崩し、町を包囲しようかというところです。
 オカーニャの町は砲撃に対してかなり強靱なので、フランス軍は強力な砲兵でその両側を滅多打ち、スペイン軍は砲兵に続く歩兵の突撃を受け、5ユニットが潰走。
 またフランス軍は左翼では歩兵は前進しませんが、騎兵がスペイン軍右翼へ大きく回り込み、背後を脅かしています。
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 30分後、フランス軍右翼はますます前進し、スールトが陣頭指揮を執る部隊はスペイン軍戦列に大きく食い込んでいます。後ろからは砲兵が砲撃で援護。しかし、この時点でフランス軍にもかなりの死傷者が出ており、状況は見た目よりは緊迫していたようです。
 スペイン軍はオカーニャの町を死守しつつ、なんとか防衛ラインを整えようとしますが、兵力が足りず、最左翼はわずかな騎兵を残して崩壊状態。
 一方、右翼では回り込んできた騎兵を逆に包囲しようとスペイン軍の騎兵が三方に展開するという機動戦に。そしてこの騎兵を孤立させるため、右翼の歩兵も正面のフランス軍戦列に反撃を開始しました。
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 さらに30分後。スペイン軍は左翼でも騎兵による突撃を敢行しますが敵中に孤立、ピンチに陥ります。逆に右翼では歩兵の攻撃が成功し、フランス軍は後退、回り込んできた騎兵も退却していきました。
 中央は一進一退の攻防が続きますが、二線あるスペイン軍は穴が開いたところに第二線のユニットを投入して埋めるのに対してフランス軍は徐々に先細りに。
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 第5ターン。激戦によってスペイン軍の戦列もぼろぼろです。特にオカーニャの両側では半数以上の部隊が混乱状態に陥り、戦列を維持するギリギリまで戦力を消耗。フランス軍は劣勢を意識し、とくにかく攻撃を右翼に集中し、スペイン軍騎兵を敗走させました。左翼では戦列を整えるために後退を続けます。

 というわけでまだ全体の1/3しか進んでいないのですが、早くも両軍大消耗という展開で、このあたりで時間切れということで終わりにしました。

 史実ではフランス軍の圧勝だった戦いがどうしてこの展開になったのか。ひとつには今回は練習ということで、基本ルールしか使っていないため、フランス軍に3人、スペイン軍に1人しかいない指揮官による指揮統率ルールを用いておらず、そこで差が出ていないということがあるかと思います。
 指揮統率ルールを加えると、指揮官がいないスペイン軍右翼は上記のようには柔軟に戦えないと思われ、フランス軍がより主導権を握る展開になのではないでしょうか。

 また、今回のゲームでは両プレーヤーとも戦列全体で戦闘を行っており、早期にたたき合いになってしまい、兵力で劣るフランス軍が序盤に消耗を強いられたのも影響しているかも。これはまだちょっともう少し経験値を積まないとわからないのではないかと思いますが、ナポレオン戦争の会戦ではどの部隊を攻撃に投入し、どこで予備を維持し、攻撃を行わないか、も重要なのかな、と感じた次第です。

 ともあれ、連隊レベルの会戦級は本作とThe GamersのNBSといういずれも比較的手軽にプレーできて、内容も濃いウォーゲームがあるので、今後もチャレンジしたいと思っています。
 対戦してくださったkotatu様、観戦武官としてチャートの参照や戦力ロスターの管理などでお手伝いくださったSin様に大感謝です。

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