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さとうの筆(その1) [ミニチュアゲーム]

 ミニチュアのゲームのペイントに筆はなくてはならないものですが、みなさんはどんな筆で普段ペイントをされていますでしょうか。いろんな道具を試しているうちに「道具コレクター(というほどでもないですが)」へと道を踏み外しつつあるさとうです、こんにちはw。
 どんな筆を使うかは、その人そのひとのスタイルや技法、あるいは好みによって違うと思いますので、これから紹介する私の筆については、あくまでも「私にとって」という注釈がつくことをご容赦ください。

 私がミニチュアペイント用の筆に求める条件は以下のとおりです。
1:カラーをつけたときに穂先がきちんと揃う。(まとまり)
2:筆を動かしたあとに、穂先がきちんと元の位置に戻る。(コシ)
3:筆につけたカラーがすぐになくならない。(含み)
4:上記の条件が長期間継続する。(持ち)

 数年前にスケールモデルの世界に復帰し、昨年からミニチュアゲームのペイントを始めるまで、私が使う面相筆はほとんどWinsor&Newton社のシリーズ7一択でした。これはとある模型店の人に薦められたのですが、確かに素晴らしい筆でした。価格も模型のペイントに使う大きさなら1200~1500円程度と手がでない価格ではなかったというのも気に入った理由です(普通の水彩画に使うより太い番手だと数万円するのです^^;)。
 ところがこの筆は、どこの画材店でも必ず置いてあるという商品ではなく、かつ数年前にこの筆の輸入代理店となった会社が、最近いろいろと複雑なことになっているようでして、それなら、とここしばらく新しい筆の候補を模索しておりました。

brush002.jpg

 上の画像は、新発売のCitadel Detail Brush、シリーズ7の0番、そして一度模型雑誌でみかけたフランス製のRaphaelの2/0番を並べたものです。この3つは穂先の大きさがほぼ同じ程度でした。このサイズの筆ではほかに文盛堂のWoody Fitsの3/0番、タミヤのモデリングブラシPROの0番も試してみました。
 使い比べた感触は、タミヤと文成堂のものは穂先がかなり柔らかく、上の「2」の条件に当てはまらず、Raphaelもやや柔らかめ。Citadelとシリーズ7はかなり近い特性を持っているように思いました。
 以前ホビーセンターの方にうかがったのですが、Citadelの面相筆はWinsor&Newton製で(OEM?)、シリーズ7より一段グレードの低い筆に相当するそうです。調べてみると確かにWinsor&Newton社のラインナップには、シリーズ7の下に「Artist Water Colour Sable Brush」というシリーズがありました。価格的にもCitadelの筆はこれに相当するのかもしれません。
 Citadelの筆がシリーズ7と同程度の耐久力があるかどうかは、私はまだ試し始めたばかりなのでわからないのですが、この検証も含めて、しばらく使ってみようかなと思っています。同じ番手の筆でもメタリック用は分けて使いたいとも思いますし。
 私は、このサイズの筆はミニチュアの肌やマント、鎧などにグラデーションを施す際によく使います。いまや一番出番が多いかもしれません。

brush001.jpg

 上の4本は、さきほどの0番サイズよりかなり大きいタイプで、シリーズ7の2番、Raphaelの1番、CitadelだとLarge Brushがこれにあたります。一番下はCitadelの新製品であるWash Brush。
 このサイズになるとシリーズ7でも毛が長いせいかコシは柔らかめになりコントロールが難しいのですが、Raphaelは毛が少なめなので含みは少ないですがしなりは充分な感じ。このふたつに比べてCitadelのLarge Brushは穂先が若干割れやすいですがコシはありました。
 Wash BrushもLarge Brush同様、穂先のまとまりはいまひとつなのですが、これは毛がシリーズ7の2番より多く、カラーをより多く含むので確かにウォッシングには重宝しそうです。

brush005.jpg

 上の2本はいずれもシリーズ7の00番と000番です。00番は出番が多く、ミニチュアの顔のペイントやエッジの細いハイライトなどはこれで塗っています。奥まったところに塗り残しがあった場合なども、00番なら周辺にカラーを付着させずに塗れます。
 000番は毛がかなり少ないためカラーをほとんど含んでくれず、乾きの早い水性アクリルにはあまり向いていないかもしれません。たとえば000番で左目の瞳を描き込むと、右目に移る頃にはもう穂先が乾いてしまっています。
 細かいところも筆につけるカラーの濃度や量を調節すれば描けるわけで、太い筆で練習しようかな、と模索中。さすがに「瞳もLargeBrushで(某ホビーセンタースタッフ談)」とまでは思わないですけれどw。

 私は以前は、比較的広い面積も、細かいところも、ぜんぶシリーズ7の1番を使ってきたのですが、最近やはりWinsor&Newtonを使っているという知人に「1番はほとんど使わないなぁ」と言われてショックw。確かに、広い面積をCitadelのBasecoat Brushやシリーズ7の2番といった大きい筆で塗り、ハイライトや細部を0番以下の細い筆で塗るなら1番(CitadelならStanndard Brushでしょうか)はいらないのかも。

brush006.jpg

 上の画像は私が持っている3本のシリーズ7の1番筆です。左が一昨年使っていたもの、真ん中が去年から今年にかけて使っていたもの、右端が最近購入した新品です。
 この画像でおわかりいただけるかどうかわかりませんが、高級筆といわれるシリーズ7でも、使用頻度にもよりますが、私の場合1年も使い続けると、穂先はまとまらなくなり、毛が減って含みも少なくなります。こうなると面相筆としてはもう使い物にならないので、ウォッシング用やドライブラシ用へと格下げ(?)になります。

 私が筆を長持ちさせるために心がけていることは、
1:カラーを筆の根本につけない。
 これは水性アクリルを使用する場合の鉄則だと私は思います。根本から金具の内側にカラーが染みこむと、洗っても完全にはカラーが落ちずに中で固まって、筆の寿命を激しく縮めます。

2:新しい筆でウォッシングをしない。
 ウォッシングはカラーやインクをものすごく薄めて行うわけですが、これを筆に含ませると毛細管現象によってカラーが筆の付け根に染みこんでいき、上で述べたのと同じことが起こります。

3:こまめに筆を洗う。
 たとえば1ユニット10体のアーマーを一気に塗るという場合でも、一気にペイントせずに1~2体ごとに筆を洗ってきれいにします。

4:ときどき筆にリンスを使う。
 これは気休めかもしれないですが、週に一度くらい、よく使う筆は絵筆用のリンスをつけて手入れをしています。また、購入したときについているキャップをつけて、必ず穂先を上にして立てて保管する、というのも筆の保全のために心がけていることではあります。

 長くなってしまいましたがとりあえず結論。
・Winsor&Newtonのシリーズ7に優る筆は現時点では発見できませんでしたが、太い筆ならRaphaelも悪くありません。
・耐久性は未知数ですが、CitadelのDetail Brushは、シリーズ7の0番にそれほど遜色ない性能を持っているように思えます(Fine Detailは試してませんがどうなんでしょうね)。

 というわけで、当分はシリーズ7を使い続けつつ、Citadelのブラシも継続的に試していこうと思っています。次回は、平筆とドライブラシ用筆をご紹介します。

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コメント 3

まいくろたいがー

すばらしい情報助かります。

おそらく私だけでなく、
関心を持ってみている方が
何人もいらっしゃるかと思います。

t-sathoさんほどではありませんが
私もいくつかのメーカーの筆を使っており、
筆の性能についてはほぼ同じような印象です。

先日買った新シタデル筆はまだ使ってないので
旧作との違いがどうなのか非常に楽しみです。
by まいくろたいがー (2009-07-30 23:28) 

天

ウインザー&ニュートンのミニチュア7は髭親父も
愛用してるけどホント使える筆ダヨネ^^
子供時代にスケールモデルを作っては塗ってた髭親父が
GWホビーに出会ったのをキッカケにペイント道具を
改めて揃えた時に、まず手に入れたのはシリーズ7の00番!
当時のYS本店で薦められた筆はチョイと高かったけど
ホビーライフを支える肝心要の道具なので思い切って
道具道楽とばかりに購入しましたヨ♪
その後、七年の時を経て現在3本目の筆もそろそろ限界^^;
今でも取り扱っているショップを見つけて買わなきゃネ。
ところでシタデル筆もナカナカ寿命の長いナイスな筆で
ドライブラシ系は今でも全部シタデルブラシなんだけど
新しく出た平筆のラージドライブラシは気になるナァ。
昔からペイントの話になると「大きい筆を使いこなせれば
ペイントは格段にスピードアップするよ!」なんて風に
アドバイスされましたが、あえてラージで眼を描き込むのは
其れなりにテクニックも必要だしドッチかと言えば彼なりの
パフォーマンス的な面白ネタだったりしてネ^^
by 天 (2009-07-31 10:44) 

t-satoh

>>まいくろたいがーさん
 いつもコメントありがとうございます。
 筆の使用感が近い方がおられてちょっと安心しております。こればかりは好みもあるので、難しいところですよね。
 Citadelの新しい筆は、柄が軽くて梨地仕上げなので、疲れにくそうな気がしております。柄自体もWinsor&Newtonのシリーズ7よりほんのわずかに太くて、使いやすいかもしれないです。

>>天さん
 私も9年ほど前に、イエローサブマリン新宿ゲームショップで、店員さんに赤い柄のCitadelの筆を薦められたことを思い出します。そのときはまだミニチュアゲームには手をつけておらず、GHQの1/2400の戦艦のメタルミニチュアを塗るためだったのですけれどw。
 そのとき購入したStanndardとLarge Brushはいまもウォッシング用として活躍しておりましたが、そろそろ引退かもしれないです。
 ドライブラシ用の筆って悩みますね。タッチを重視するとセーブルかなと思うのですが痛みも早いですし、ナイロンの筆は先がすぐに丸まってくるので、私の場合は使い古したセーブル筆をこれまでドライブラシ用にしておりました。
 新作のドライブラシ用筆は、お試しにスモールを購入したので、次回のブログでレポートしたいと思います。ラージも購入は検討中ですー。

by t-satoh (2009-07-31 11:06) 

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