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Last Blitzkrieg(IMMELMANN5月例会) [ウォーゲーム]

 昨日は、ゲームクラブIMMELMANNの月例会に参加しました。
BCS_LG008.jpg
 会場ではまず、先日購入したThe Gamersの新作「Last Blitzkrieg」の、自宅ではなかなか平らに拡げるのが難しい4枚のフルマップを並べてみました。
 上の図の青い線がムーズ川、2つある青い印は上がSt.Vith、したがBastogneです。右の赤い線はドイツ軍のいいまかな攻勢開始線です。
 本作は1ヘクス1kmなので、ムーズ川はかなり遠く感じますし、ゲームは1ターン1日で、全部で16ターンしかありません。
 ドイツ軍のサドンデス勝利条件は、第2SS装甲軍団(2ssPz、9ssPzの2個師団)のある程度の戦力を地図北端に突破させることなのですが、上記の縮尺で果たして可能なのか? と一瞬思うところです。
 しかし、1個師団は1ターンに最大で2回活動でき、機械部隊の移動力は1回の活動につき、道路上なら25~30ヘクス近く移動できるため、突破口さえ開けばなんとかなるようにも思えます。
 なかなかフルキャンペーンをプレーする機会をつくるのは難しいかもしれませんが、地図を見ていると興奮します。

 さて、昨日は前日に訳したばかりのシリーズルールの確認とBCSという新システムの習熟のつもりで、含まれている状況設定の中でも規模の小さい、12月18~22日にかけてのサン・ビトを巡る戦いを並べてみました。
BCS_LB160521_001.jpg
 マスキングテープで囲った境界線が状況設定で使用するプレーエリアになります。状況設定の説明は英文ルールでぴったり1ページなので、両軍のカウンター数もあまり多くありません。1ターン1日なのでゲームは全部で5ターン行われます。

 米軍は画面の右の方に第106歩兵師団の2個連隊が孤立しており、同師団の残り1個連隊と師団司令部が画面中央南に布陣しています。ここにはサン・ビトへ続くウール川の渡河点が2ヶ所あり、正面にはドイツ軍の第62国民擲弾兵師団が接近しています(上の画像は最初の移動後の位置です)。この地点にはまた、勝利条件のひとつであるブール・ルーランの村があります。
 第106師団を包囲しているのはドイツ軍の第18国民擲弾兵師団の2個連隊で、1個連隊プラス精鋭大隊がサン・ビトの正面へ接近中です。

 サン・ビトは地図のほぼ中央に位置しています(中央近くの青い円)。守っているのは第7機甲師団の司令部と付属の工兵大隊で、加えて広く分散配置されていた第9機甲師団のCCB(コンバットコマンドB)に所属する1個機甲大隊が町の南側に陣取っています。
 第7機甲師団の主力はまだ前線に向かって移動中で、サン・ビトの背後に位置しています。

 さらに、画面の北側には、地図北端からヴィールサルム(画面左端の青い円)へ続く道路があり、ここを第14機甲偵察グループが守っており、正面には北から向かってきた第1SS装甲師団(パイパー戦闘団欠)が対峙しています。

 ドイツ軍の勝利条件は5ターン目の終わりまでに青く囲んだ3ヘクスをすべて占領することで、ひとつでも失敗すれば米軍の勝利です。
 ドイツ軍は地図上の戦力に加えて、第1ターンに地図右端から第9SS装甲師団、および総統護衛旅団が登場し、終盤には第2SS装甲師団と第560国民擲弾兵師団(一部欠)が増強されます。

 5ターンというと短く感じますが、実際には地図の部隊だけでドイツ軍3個師団、米軍2個師団プラス1個連隊、プラス2個大隊があり、これらが部隊単位毎に、米独交互にひとつずつ行動するため、1ターンの経過にはそこそこの時間がかかります。
 特に、1個師団の活動は1回、場合によっては2回連続で行え、ユニット毎に移動と戦闘行動を行うので、一般的な「全部隊の移動>戦闘」という手順に比べれば複雑といえるかと思います。
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 試しに、第1ターンの第62国民擲弾兵師団(62VG)による活動を考えてみました。
 第62VGは3個連隊を有していますが兵力不足なため、各連隊は2個大隊しかありません。練度や装備の充足度を表すAR(アクションレーティング)も「2」と低いのですが、師団司令部には砲兵5ポイントとヘッツァー駆逐戦車大隊が支援兵力として付属しています。
 正面のウール川の戦線には、第106師団(106ID)の1個連隊と第9機甲師団のCCBという、合計2個連隊相当の米軍がおり、兵力的にはほぼ互角というところです。106IDは練度未熟の新兵の多い部隊なので、こちらのARもやはり「2」ですが、9CCBは「3」とやや優秀。

 1個師団の活動は、まずそのターンの指揮統率に問題が生じなかったかを判定する「SNAFU判定」で始まります。これは師団の補給状態や防御態勢か攻撃態勢か、そして隣接部隊との境界線が交差していないかどうかなどを基準に判定します。結果には成功、部分的成功、失敗の3段階があって、使用できる支援や目標マーカー(OBJ)、使用できるユニットの移動力などが決まります。

 次にその師団の攻撃目標を設定します。上のSNAFU判定で使用可能となったOBJ(1~2個)をその部隊の目標に定めたヘクスに配置します。これは司令部の指揮範囲内で敵ユニットが存在するヘクスでなければならず、同部隊による攻撃はそのOBJから2ヘクス以内でなければ行えません。
 よって、1個師団は1回の活動に際し、1または2ヶ所でしか攻勢を行えませんが、2個のOBJを1ヘクスに集中すると、戦闘に有利なDRMが得られます。

 こののち、1ユニットずつ移動させて活動を行っていきます。戦闘は1ユニットずつ行い、自身の移動とセットで行わねばなりません。移動は道路に沿って行えば1ヘクスにつき1/2MPの消費ですみますが、森林では歩兵なら2MP、戦車やトラックは全MPの消費が必要となり、道路以外を迅速に進撃するのはほぼ不可能といえるかと思います。
 部隊は敵軍ZOCに進入すると、原則として停止せねばなりませんが、装甲ユニットはややその制限が緩く、また逆に装甲ユニットは場合によっては敵軍に対してより広いZOCを及ぼす可能性もあります。
 つまり、戦車や対戦車自走砲といった機械化部隊は機動力と柔軟性が歩兵よりも高いということになります。

 戦闘はそこそこ種類があるので箇条書きにすると、
Attack:敵軍ヘクスへの突撃を表し、歩兵によるレギュラーアタックと戦車によるショックアタックがあります。また、先に敵軍に隣接しておいて後から来る友軍の攻撃を援助する「アシスト」という攻撃形態もあります。
 歩兵は攻撃を行うとその活動は終了ですが、戦車は1回の活動につき2回の攻撃を行え、状況次第ではその後に移動も可能です。

Engage:装甲車両同士の射撃戦を表し、相手戦車のZOCに進入した戦車はまずこれを行わねばなりません。

Barrage:長距離火力による砲爆撃を表し、砲兵や航空機によるものと、戦車が歩兵に対して行う「アタックバイファイア」という攻撃方法がこれに含まれます。
 また、砲爆撃には「制圧」と「打撃」の2種類があり、打撃は相手のステップを消耗させ、制圧は続く戦闘にDRMをもたらします。

 これを踏まえて、上の図の活動を検討します。
 62VGはSNAFU判定に成功し、移動力は全力、OBJは2個使えます。司令部はこれを9CCBの第27機械化歩兵大隊がいるヘクスに2個とも集中、そこへ190歩兵連隊の2個大隊をひとつずつ隣接させ、最初の1個がアシスト、次のユニットがアタックを行うという作戦を試みました。
 攻撃は、まず164連隊の第2大隊が目標ヘクスに隣接し、そのユニットによる観測で打撃砲爆撃を3ポイント分行い、できればまず相手のステップするを減らそうと試みました。
 続いて190連隊が前進、1ポイントの砲兵による制圧射撃に続いて、攻撃をしかけます。
 攻撃は「アサルトアロー」とい矢印がカウンターに記載されているユニットでしか行えません。歩兵にはほぼすべてのこのマークがあります。
 判定の前にまず修正値を決定します。ドイツ軍は攻撃ユニットのARが2、アシストで+1、制圧砲撃で+2、OBJを2個集中したことで+1、師団の「支援隊」となっているヘッツァーにより+1、合計攻撃力は7。
 米軍はCCB/9のARが3、川越えで守っているので+1、荒地で守っているのでさらに+1、合計5、差分値は+2となります。
 これでサイコロを2個振り、出目に修正値である+2を加えて結果を判定します。
 戦闘結果によって、攻撃側と防御側のどちらがステップを損失するか、防御側は後退を強いられるかどうか、そしてそのヘクスに交通渋滞が発生するかが判明します。

 上記の例のなかでちょっと特殊なのが「支援隊」です。これは装甲ユニットまたは対戦車砲などのユニットを、細切れに師団全体の各部隊に配分することを表しています。
 これを行うと通常のユニットとしては機能できませんが、司令部の支援範囲内の全ユニットに「支援効果」を及ぼすことができます。上記の例では戦闘判定に+1DRMです。
 支援を受けているユニットは、場合によってはZOCが拡がったり、戦車に対する防御力が増加したりするので、たとえば歩兵師団所属の戦車大隊は基本的には支援隊として使うことになるように思います。

 このように、BCSは大隊ユニットを基準とした師団レベルのウォーゲームですが、戦車と砲兵、歩兵といった兵科毎の役割を比較的細かく扱っていて、諸兵科連合の作戦を実施している感触を強く感じました。

 また、偵察ユニットは上の師団司令部が配置するOBJに追加して、偵察OBJというマーカーを置くことができるなど、単なる快速部隊ではない能力も持っています。
 各ユニットにステップ数は規模によって2~6ステップで、これはカウンターの裏表4辺に1~8の数値を描いたマーカーを使って表示しますが、戦闘や移動ではステップ数はほとんど考慮しないので、煩雑ではありませんし、1度おいたマーカーはユニットが壊滅するまで取り替えない(回転させたり裏返すだけ)なので、手間も少ないように感じました。

 まだ1ターンの活動を検討しただけの段階なのでなんともいえませんが、この状況設定の作戦だけでも、ドイツ軍はいかにして3つの勝利ポイントを5ターンで達成するか、そのためにどの部隊をどの戦区に投入するかという作戦レベルの意思決定と、各部隊がどうやって作戦目標を達成するかという戦術色の強い意志決定を同時に行うことになる、興味深いシステムだと思います。

 今回の検討を参考に拙の訳文を修正し、さらに作戦検討や実際のプレーを楽しみたいと思っている次第です。

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