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Quatre Braの戦いから200年:Ney vs Wellington(SPI) [ウォーゲーム]

 今年、2015年はナポレオン戦争終結から200周年で、ナポレオンにとっての最後の戦いであるワーテルローの会戦からも200周年ということになります。ワーテルローの会戦はユゴーの「レ・ミゼラブル」やスタンダールの「パルムの僧院」、サッカレーの「虚栄の市」などでも取り上げられ、軍事史の中でももっとも一般に知られている戦いの一つかと思います。
 ワーテルローの会戦が発生したのは1815年の6月18日なのですが「ワーテルローの戦い」といった場合、この1日の会戦を指すこともあれば、その前の数日間、ナポレオン率いるフランス軍が英普連合軍に対して進撃を開始しシャルルロワ、リニー&カトルブラ、そしてワーテルローへ至る一連の戦役全体を指す場合もあります。
 で、そのワーテルローの前哨戦ともいうべきリニーとカトルブラの会戦はワーテルローの2日前、6月16日に発生しました。
 というわけで、今日は200周年ということでその歴史的な会戦を扱ったウォーゲームをちょっと並べてみようと思います。
NvsW_001.jpg
 画像は、SPIが1979年に発表した「Ney vs Wellington」です。ネイというのはカトルブラの戦いを指揮したナポレオンの部下の元帥、ウェリントンとはイギリス軍の指揮官で対仏同盟軍の北部方面総司令官でもあったウェリントン公爵、アーサー・ウェルズレー卿のことです。
 この日、ナポレオンは配下の第3、第4軍団を率いてリニー近郊に布陣するブルッヒャー率いるプロイセン軍3個軍団と対峙していました。一方のネイは左翼方面の翼部隊指揮官として、第1、第2軍団を率いてカトルブラと呼ばれる交差点、これはフランス軍がベルギーの首都ブリュッセルへ向かう進撃路であっただけでなく、イギリス軍とプロイセン軍を結ぶ横の連絡線でもありました。
 ネイに与えられた任務は迅速にこの交差点を確保して英軍を押さえ込み、英普両軍の合流を阻止するというものでした。
NvsW_002.jpg
 こちらが初期配置。画面中央から北へ向かってイギリス軍が展開しつつあり、南側にはネイ率いるフランス軍が攻撃準備についています。
 イギリス軍は地図中央の道路をちょっと南下してきたところで、前線には少数の散兵中隊とオラニエ公率いるオランダ軍が薄く展開しているだけという状態。
 一方のフランス軍は第2軍団の3個師団と騎兵が攻撃準備についていますが、第1軍団はまだ行軍途中です。
NvsW_003.jpg
 フランス軍の攻撃陣形。左からナポレオンの弟が率いる第6師団、中央に第9師団、右に第5師団が並んでいて、後方に2個の騎兵部隊が待機しています。
 軍団長のレイユ将軍は中央にいますが、総司令官のネイは右の第5師団と一緒に最前線に立っています。このように部下よりも敵に近い位置にいるのは、勇猛なことで知られたネイらしい行為なのか、それともたまたま左翼を指揮するレイユより前に出ていたというだけなのかw
 前方にはイギリス軍の散兵線が見えています。散兵はわずか1戦力ですが、隊列を組まずに広く散開しているため射撃の影響を受けにくく、見た目ほど脆弱ではありません。うかつに突撃しようと縦隊で接近すると、意外な射撃力に戸惑うことに。
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 こちらは両軍の増援部隊です。フランス軍はゲーム後半に騎兵が少し到着するだけですが、イギリス軍は戦闘が長引けば、続々と増強されることになります。
 実はこの会戦のさなか、カトルブラは楽勝だと判断したナポレオンによって、後方にいるデルロン率いる第1軍団にリニーに向かうよう命令が出されたため、彼らはネイのもとにはやってこなかったのです。
 イギリス軍の増援は、北のブリュッセル方面や西方のニヴェール方面から駆けつけてくる部隊で、赤いコマはイギリス軍でクック配下の近衛師団とアルテン将軍の第3師団、緑はハノーファー軍、グレーはブラウンシュヴァイク軍です。
 ブラウンシュヴァイク軍は1806年にアウエルシュタットの会戦で致命傷を負ったブラウンシュヴァイク公の息子が率いていて、戦列歩兵連隊、後備兵連隊、猟兵大隊と近衛兵大隊という編成がプロイセンと似ていて、ドイツっぽいです。

 フランス軍はできるだけ北側に前進し、できれば自軍が戦意崩壊しないうちに英軍戦意を崩壊に追い込む、というのが勝利条件になります。

 なお、本作はワーテルローの会戦そのものを扱った「Wellington's Victory(SPI/TSR/DG)」というウォーゲームの姉妹作で、システムはほぼ同じです。活字関係では「英仏両軍の手順が対称じゃない」という一言で語られることが多いように思いますが、より正確にいうと、それぞれ同じ手順からなる両軍のプレイヤーターンの間に、ターン中に1回しかない両軍同時の射撃フェイズが挟まれている、というシステムです。
 つまり、イギリス軍の移動とフランス軍の移動の間に射撃が行われるが、フランス軍の移動とイギリス軍の移動の間には射撃フェイズはない、ということになります。
 これはなかなか興味深いというかおもしろいシステムですが、これは英仏両軍の差を表現するには的確かもしれませんが汎用性には欠けるため「バタイユ」や「TSS」のようなシリーズにはなりませんでした。

 Ney vs Wellingtonは比較的手軽にプレーでき、なかなか白熱する展開になるので、また再プレーしてみたいと思うところです。

 なお、本作は以前からStrategy & Tactics誌の版を持っていたのですが、少し前にe-bayで箱入りバージョンを安く見つけてしまい、つい買ってしまったです。まるで新品のような箱の状態に驚きましたが、これはもしやどこかのお店あるいは問屋のデッドストックだったかもですね。

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