SSブログ

SPI Berlin'85 ルールチェックとソロプレー [ウォーゲーム]

 先週末は体調がいまひとつだったので遠出はせずに、以前のアバロンヒルやSPIから出ていたウォーゲームを引っ張り出して、ルールを読んだりしておりました。
berlin85_001.jpg
 そのなかのひとつ「Berlin'85」は、1985年(!!)に米ソの間で第3次世界大戦が勃発し、ワルシャワ条約機構軍(当時)が西ヨーロッパに侵攻するというSPIお得意の仮想戦シリーズに含まれる1作です。
 もともとはSPIが出していたウォーゲーム雑誌であるStrategy&Tactics(雑誌自体はいまも別会社から発行継続中)の79号に貼付されていた付録で、フルマップ1枚、カウンター200個、英文ルール12ページという内容でした。加えて輸入元だったホビージャパンの翻訳ルールが24ページあります。

 上の画像はボックス版のパッケージ。基本的なデザインは雑誌版の表紙と同じですが、黒赤(ルーペで確認するとM100+Y100のいわゆるキンアカではない、特色の赤インクを使用してます)の2色刷りで描かれたチーフテン戦車がめっちゃかっこいいです。

 で、ためしに和文ルールを読み始めたのですが、これがおもしろいw かつてのホビージャパン製和文ルールは玉石混交というか、ここのところ某所でも話題になっていますが、よい翻訳もあれば、誤訳、恣意的な文章変更や追加など、チェックするといろいろおもしろいものが発見できて楽しいのです。
 Berlin'85(邦題は「鉄のカーテン」!、いい響きですねw)は、原文にはない「ルール適用の例」が70行もあったり、「わかりにくい」であろうと訳者の方が判断したらしい部分への訳注が数箇所、多いところでは80行もかかれていたりして、当時は「親切なルールだなぁ」と感心しておりました。
 しかし、今回改めて読んでみると、あれっ?と思う箇所が続出。原文と突き合わせながらチェックしてみると、誤訳と思われる部分を66箇所ほど発見しました。・・・って多いでしょっw

 詳しくみていくと、誤訳とひとくちにいってもいろいろあるというのがわかります。
・単なる誤字、脱字
・単純な単語や文章の見落とし
・単語の解釈における勘違い
・同じ単語の動詞と名詞の取り違え
・先入観による読み間違い
・単語の意味が不明なための省略
・構文や文法における読み間違い
・読みやすく、わかりやすく書き換えたことによる語意の変化
 このいずれもがプレーする上で致命的な誤訳になりえるわけですが、今回は「先入観による読み間違い」が興味深かったです。
 たとえばこのゲームでは、砲兵は1ターンに自軍プレイヤーターンと相手プレイヤーターンの両方で砲撃を行えるのですが、訳者はどちらか一方で1回だけ行えると解釈し、そのように記述しているうえ、その解釈では矛盾が生じてしまう箇所を、訳者の解釈でつじつまが合うように変更してしまっていますw
 また、このゲームの地形には「中心地(urban)」と「地下鉄(U-BARN)」があるのですが、訳者はこれを混同し、中心地とすべきところを地下鉄としてしまっている部分があります。
 これはけっこう致命的で、というのも、中心地にはZOCが及ばないのですが、和文では及ぶことになってしまい、本来はメイアタックの戦闘がマストになってしまうわけですw
 ZOCといえば、このゲームでは橋やフェリーがあろうと水へクスサイドはZOCを遮断するのですが、和文では橋やフェリーはZOCを通すことになっていますw

 戦闘フェイズでは、後退を強いられた防御側は後退を拒否するための判定を行えます。サイコロを1個振り、出目が指定された後退距離より大きければセーフ、後退距離以下なら除去されてしまうのですが、和文ではこれが逆にw

 そして勝利条件。ソ連軍は終了時に盤上に残っているワルシャワ条約機構軍ユニット1個につき、ゲームが終了したターンによって決まっている数値を掛けて、その結果が勝利ポイントになるわけですが、和文では「残っているユニットの数を掛ける」が抜けていますw

 ほかにもたくさん間違いがあるのですが、重大なのは上記のものでしょうか。私はこのウォーゲームを10代のころ、ほとんどソロプレーでしたが、それでもかなりの回数プレーしました。
 しかし今回ルールをあらためて読んでみて、まったく間違ったルールで当時プレーしていたんだと知ったわけです。
 となると、読んだだけでなくプレーもやりなおさねばなるまいっ、ということで並べてみました。
berlin85_002.jpg
 地図は当時の西ベルリンを示していて、地形をよくみると「チェックポイントチャーリー」もちゃんと記されていますw
 青いユニットは西ドイツ警察、緑が米軍、ベージュが英軍、薄いグリーンがフランス軍、これを取り囲む赤いユニットがワルシャワ条約機構軍で、東ベルリンにいるオレンジのユニットは東ベルリン警察w
 ワルシャワ軍はほぼソ連軍なのですが、マップ西南にいるちょと濃い色の部隊だけが東ドイツ軍です。ユニットは大隊規模で、上の図の赤丸で囲んまれているのが1個師団ということになります。
 ソ連軍には上記のほかに空挺1個師団を増援で投入可能で、加えて盤上の初期配置師団をゲーム開始時に取り除くことで勝利ポイントを得られます(ちなみにこのことも和文ルールに書いてないw)。東ベルリンに配備されたソ連師団はぜんぶ砲兵からなる砲兵師団です。

 さてではちょこっと動かしてみます。
berlin85_003.jpg 
 ベルリン市内の移動コストは住宅地と工業地は道路と同じ1ですが、中心地に入るといきなり3になり、けっこうトリッキーな移動を要求されます。

 また当時から感じていたのが戦闘における地形効果の大きさで、特に市街地は住宅地が2、工業地が3、中心地が4コラムシフト、水へクスサイドのコラムシフトがこれに累積します。
 戦闘結果表は攻防の戦力差でコラムが決まるのですが、+2と+3は同じ列、+4と+5も同じ列、+6以降は+6~8、+9~11、+12以上となっていて、どんなに戦力差があっても+12に当てはめそこからコラムシフトです。
 つまり30対1の戦闘でも、それが中心地なら+12から4コラムシフトで+2の欄になってしまうわけです。
 しかもー1から+5までの欄は相互損害の確率が1/2。ソ連軍はほとんどの戦闘で2回に1回はユニットを失います。
 「これこそ作戦級の市街戦なのだ」といわんばかりの強烈なシステムで、ソ連軍はもし当時ベルリンを攻撃したら、独ソ戦時代のベルリン攻防戦の二の舞になるぞ、といってるかのようですね。

 とりあえず2ターンまでプレーしましたが、NATO側はセットアップに非常に気を使うことになりそう。ちょっとミスしたフランス地区ではいきなりフランス軍2個が包囲され、突破されました。
 逆に米軍地区は川の防御線が強力で、ソ連軍は米軍歩兵大隊が守っているへクスは空軍や砲兵を呼んで総攻撃をかけても弾き返される感じです。
 第2ターンだけでソ連側はすでに1個師団は半壊、他の師団にも損害が出て苦しい展開ですが、NATO側もじわじわ弱体化して、どこを突破されてもおかしくない状況ではあります。
 砲兵は射程が18から25へクスと長く、視認も必要ないので、砲兵の使い方がキーポイントなのかもしれません。このあたりはもう少し研究してみたいです。

 というわけで、古いウォーゲームもまだまだ捨てがたいものがあります、などというとノスタルジーだといわれそうですが、はいそのとおりと開き直って、楽しみたいところです。
 だって、新しい発見があるんですもの~っですよっ

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。