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Last Blitzkrieg(BCS)のユニットカウンター紹介(その19) [ウォーゲーム]

 前回までで、Last Blitzkriegに登場するドイツ軍の旅団規模以上の部隊はすべて見てきたわけですが、やはり小規模な部隊もいろいろ興味深いということで、米軍の増援部隊に進む前に、ドイツ軍の特定の司令部に属さない独立ユニット(一部例外あり)を見てみようと思います。

 まず、基本的にBCSはプレーシーケンスが旅団または師団といった部隊単位で行われるため、バルジの戦いを扱った他のウォーゲームと比較すると、いわゆる独立ユニットはあまり多くありません。
 ここで紹介するユニットもフォン・デア・ハイテ隊を除くと、単独では移動も戦闘も行えず、いずれかの部隊に配属せねばなりません。
 ゲーム中にこれらの独立ユニットの配属を変更することは可能ですが、そのためには異動させる司令部間を、その独立ユニットが通行可能でなければなりません。このとき距離は不問ですが、配属できるのは未配属のユニットだけ、というルールがあるため、異動の手順は配属解除>配属と2ターンが必要となります。
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 まずはかの有名なドイツ空軍の最後の落下傘降下作戦を実施した、フォン・デア・ハイテ降下猟兵戦隊。ドイツ軍の最初の降下作戦である1940年のオランダのときのように、戦線後方に降下して装甲部隊が通過する予定の橋梁を確保するという任務を帯びていたようですが、大戦末期ということで兵員もそれを輸送する搭乗員も未熟なうえに、冬の悪天候に影響されてただでさえ少ない部隊は四散、特に戦況に影響を及ぼすことなく壊滅してしまったようです。
 隊長のフォン・デア・ハイテというひとはドイツ降下猟兵のベテラン指揮官で、クレタ島をはじめ、北アフリカやノルマンディーでは大隊長や連隊長として名をはせました。
 本作では2個の中隊規模のユニットとして登場し、12月17日(第2ターン)にマルメディーの北方およそ10キロに位置するバラク・ミシェルの2ヘクス以内に出現します。ただし、司令部が「完了状態」で登場するため、降下したターンにはなにもできません。
 史実では米軍の北方からの増援部隊である第1、第30歩兵師団の一部を掃討戦のために足止めしたという効果があった、ということで、アルデンヌのゲームとしては比較的大きく扱っているといえるかもしれません。
 といっても各2ステップの2ユニットはAR2、砲兵の援護も装甲部隊もないので、ほんとに足止め程度にしかならないとは思います。
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 こちらはドイツ軍のその他の独立ユニット。最初の3個はグライフ作戦マーカーといって、米軍の軍服を着て英語を話すジープチームを表しています。本作ではグライフ作戦の影響は単に米軍に不必要な検問を強いることで全体的な作戦の遅延を招いた以外にはさしたる効果はなかったと断じています。
 それでも多少の誇張はあってもいいだろう、ということで、グライフマーカーを1個使用すると、米軍の橋梁破壊の判定成功率を下げることができ、2個使えば判定そのものを自動的に失敗させられる、というけっこう強力な能力が与えられています。
 このマーカーはただあと何回判定への修正を行えるかを示すだけなので、これが地図上を移動したりはしません。
 続いて独立装甲ユニットの一群を見ていきます。まず第506重戦車大隊と第653戦車猟兵大隊。前者はティーガーIIを装備した強力な独立戦車大隊で、AR5で4ステップ、装甲値6と強いのですが、登場するのは12月21日で、しかも2ステップを失った状態で現れます。
 ヒストリカルノートを見ると、同大隊はこの時期、1個中隊がティーガーIを装備していたとしています。
 本作ではティーガーの補充は他の装甲ユニットとは別枠なので、補充の使い方で悩むことになるかも。さらに特別ルールでは、ティーガーの機械的信頼性の低さを再現するルールがあって、毎ターン1/6の確率で1ステップを失います。
 さて、隣の第653戦車猟兵大隊はもともとフェルディナント/エレファント駆逐戦車を装備した部隊でしたが、アルデンヌ攻勢の前に一部の中隊がヤクトティーガーを受領し、この部隊がバルジの戦いに参加することになりました。
 ところが車両の輸送に困難をきたして、史実では主要な作戦には結局間に合わなかったとされています。本作では12月18日に1/3の確率で登場しますが、そうでなければ登場しません。
 駆逐戦車なので限定装甲値とはいえ数値は7とゲーム中最強、ARも5あるので登場できればそれなりに活躍するような気がします。
 2段目の左側に並んでいる2個のユニットはそれぞれシュトルム・ティーガーとブルムベアという突撃榴弾砲を装備したユニット。残りの装甲ユニット(黄色い兵科記号)は独立突撃砲旅団と独立戦車猟兵大隊です。突撃砲旅団はよく知られていますが、もともと大隊だったのが途中から名称変更されたもので、名称は旅団でも規模は大隊のままです。
 JgPzと記載された戦車猟兵はIV号駆逐戦車/70口径を装備、3段目左端の第741大隊はヘッツァー装備となっています。
 ヘッツァーはこの時期のドイツ軍歩兵師団に1個中隊ずつ配備され、頻繁に目にする車両ですが、チェコ製の38t戦車をベースとした車台(車幅が違うので、厳密には違う車両です)にIV号戦車と同じ75mm/48口径の対戦車砲を右側にオフセットして搭載しています。
 図面などをみると車内は相当狭く、取り回しも難しそうですが、車体が小さいというのは待ち伏せ攻撃にはそこそこ有効だったのではないかと思います。
 「88」と記載された最後の3ユニットは牽引式の対戦車砲または対空砲部隊で、いずれもティーガー戦車やヤクトパンターに搭載された8.8cmカノン砲を装備しているため88となっています。
 上の画像ですと移動力が12でARが3ということしかわかりませんが、裏側の展開サイドになると、arは同じく3ですが、装甲値5、射程3、移動力2となります。射程3はかなり強力な対装甲ZOCを形成できるので、歩兵と強力して上手に使えば米軍戦車部隊に対する足止めになるように思います。
 なお、より小さい口径の対空砲や対戦車砲は歩兵や偵察といった各ユニットに分散配備されているため、個別のユニットにはなっておりません。

 というわけでドイツ軍の独立ユニットは以上です。米軍はもっと少ないので、やはりBCSはフォーメーションを運用する師団/大隊レベルのウォーゲームであって、細かい兵科や装備の差を競う戦術レベルのウォーゲームとは少し違うのかもしれません。

 次回はいよいよ大量に登場する米軍の増援部隊を見ていこうと思います。

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