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Last Blitzkrieg(BCS)のユニットカウンター紹介(その18) [ウォーゲーム]

 Last Blitzkriegに登場するドイツ軍増援のなかには、地図上に配置される師団の一部後続ユニットも混じっておりますが、全部隊が増援として登場する歩兵師団は全部で4個です。
 そんなに少なかったかな? と思って調べてみるとSPIのBULGEやBattles for the ArdennesでもAHのBattle of the Bulge('81)でも4個師団でした。これらのなかにはもう1つ、340国民擲弾兵師団が含まれている場合もあるのですが、この師団が登場するのは年が明けてからなので、本作には含まれていません。
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 これらのなかで最初に登場するのは第79国民擲弾兵師団です。79という師団番号はなんかよく見かけた気がしましたが、SPIのArmy Group Southに含まれるKievとRostov、そして同じくSPIのBattle for Stalingradなどに登場する歴戦の師団でした。
 同師団は1939年3月に動員され、ポーランド戦には不参加、フランス戦ではマジノ線方面のC軍集団に所属、独ソ戦では上述の通り南方軍集団に所属し、1942年のスターリングラードを巡る戦いで赤い10月トラクター工場での戦闘に加わった後、包囲されて降伏。
 師団はすぐにロストフで再編成され、ノヴォロシスクからクバン橋頭堡地区で戦闘し、その後ウクライナでの後退戦を他隊、翌44年の夏にルーマニアで壊滅。秋に第586国民擲弾兵師団を改称して再度復活し、総司令部予備となっていました。
 アルデンヌ攻勢では第7軍に編入され、ディーキルヒ戦区で米第80歩兵師団と交戦したそうです。
 師団は輸送車両が不足していたうえ、対空砲や対戦車砲を一切有しておらず、駆逐戦車も配備が間に合わないという状況で、おそらく火力的にはかなり不備があったと思われます。これを反映して本作でも歩兵6個大隊と工兵大隊があるだけという、地味な部隊となっています。
 興味深いのは、師団名を変更する際にちゃんと連隊名も過去の師団の名称を継承しているところで、このあたりがドイツ的マメさなのか、欧州の軍隊における連隊の伝統の重要性ゆえなのかは、私にはわかりません。
 第79師団は本作では史実どおり、12月21日の増援として登場します。
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 次の登場する増援は第167および第246国民擲弾兵師団です。このうち167VGは79VGと同じく総司令部予備、246VGは第6SS装甲軍の北側に布陣していた第15軍配下の第LXXXI(81)軍団に所属していました。
 両師団とも12月25日の増援として登場しますが、出現場所は167VGは中央の第5装甲軍戦区、246VGは最北の第6SS装甲軍戦区となっています。これは167VGがバストーニュ、246VGは戦線北部の防御戦に投入されたことを反映しているのだと思います。
 167VGは第17空軍野戦師団をベースに編成された部隊だそうですが、ロシア戦線で壊滅した元の師団の基幹要因が多く含まれていたことを反映してか、工兵を含む全ユニットが展開サイドのAR3という評価になっています。
 一方の246VGも同じような再編成部隊ですが、自転車装備のフュージリア大隊を有しているものの、それも含めてARは低めで砲兵も2ポイントしかなく、167VGよりは低い評価です。これは167VGが編成されたばかりなのに対して、246VGは第15軍戦区ですでにかなりの消耗を強いられた後だということが影響しているのかもしれません。
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 そしてもうひとつ、上記2個師団と同様に25日と26日の増援として登場するのが第9国民擲弾兵師団です。他のゲームではもう少し遅い時期に登場する場合が多いのですが、本作では1日遅れ程度で戦場に現れます。登場場所は79VGと同じく第7軍戦区です。
 バルジの戦いに参加した歩兵師団としてはもっとも古い番号を有するこの部隊は167VGと同じく総司令部予備となっていた部隊で、砲兵1個大隊が欠、一部の歩兵大隊が自転車装備という編成だったようです。
 編成は1934年と古く、1939年8月に戦時動員され、第二次世界大戦の全期間を通じて前線にあり、やはり1944年の秋にウクライナで壊滅。第584国民擲弾兵師団を期間として再編成されました。
 第36連隊の第I大隊が自転車装備となっていますが、手元の史料を見ると、編成表上もこの部隊は自転車大隊とされていたようです。

 さて、これで突撃砲などの独立部隊とハイテの落下傘部隊を除けば、ドイツ軍ユニットカウンターをほぼ紹介したことになります。次回はこれらの独立ユニットを紹介するか、それとも米軍の増援部隊へ進むか、検討中です。
 それにしても、アルデンヌのドイツ軍戦闘序列をみる度に「1944年の夏から秋に東部戦線で壊滅し、攻勢直前に別の部隊を名称変更して再編成」という部隊がいかに多いかと驚きます。
 独ソ戦自体が未曾有の大規模な戦争だったのはもちろんですが、そこで行われた戦闘と消耗がドイツ陸軍の人的および物質的資源に及ぼした損害の大きさはちょっと想像を超えていて、これをちゃんと把握するのはなかなか大変だと感じた次第です。

追記:9VGの登場時期ですが、HJのThe Last Gambleでも、25~26日になっていました。同じデザイナーの作品でも戦闘序列が異なることがあるのも興味深いです。

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