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Last Blitzkrieg(BCS)のユニットカウンター紹介(その13) [ウォーゲーム]

 前回の第14機甲騎兵群に続き、Last Blitzkriegの米軍初期配置部隊の最後となるのが、第9機甲師団です。
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 第二次世界大戦において米軍は16個の機甲師団を編成し、バルジの戦いではそのうちの半数に相当する第2、第3、第4、第6、第7、第9、第10、第11の8個師団が参加しました。これを見ると「アルデンヌ攻勢はドイツ軍が装甲兵力を結集した一大作戦」といいますが、実際に装甲兵力を集結させていたのは米軍の方ではないかという気さえしてきます。
 米軍の機甲師団は1942年型と1943年型という2種類の編成があり、1942年型の編成を採っていたのは第1~3機甲師団で、それ以外の師団は戦車大隊と歩兵大隊を3個ずつ有する1943年型とされています。各3個の戦車と歩兵大隊はそれぞれ1個ずつで諸兵科連合の「コンバットコマンド」を3個(CCA、CCB、CCR)編成するというのが基本だったようです。
 と、こうした各師団共通の編成があるのは確かで、実は個人的にドイツ軍と比較して編成表を見るのが退屈という浅はかなイメージを抱いていたのですが、実際の米軍機甲師団は、師団毎にかなり異なる装備や編成を採っていたらしいです。
 この第9機甲師団はドイツ軍の攻勢開始時に作戦戦区に配備されていた唯一の機甲師団で、実戦未経験の新米師団でした。師団の各部隊はまとまってではなく、CCAは第28歩兵師団と第4歩兵師団の間のボーフォール地区、CCBはサン・ヴィト付近、そしてCCRはその間に位置するクレルヴォー北方のトロワヴィエージュ周辺とバラバラに配備されていました。
 ゲームではサン・ヴィトCCBだけは初期配置ではなく、第1ターンの任意の連合軍活動化セグメントに、サン・ヴィトの2ヘクス以内にぼこっと登場します。これは正面のドイツ軍がもたもたしている間に集結できたということを再現しているのかも。
 個々のユニットを見てみると、各CCともなかなか個性的な編成を有していますが、さらに気になるのがその装甲値です。実は本作における米軍戦車大隊はその多くが装甲値2とされています。ところが第9機甲師団は3個ある戦車大隊がすべて装甲値3になっています。
 これは貼付のヒストリカルノートによると、比較的編成が新しかった同師団は、装備戦車のほとんどが長砲身76.2mm砲装備の新型シャーマンだったらしく、その火力を反映しているのだそうです。
 「火力を反映しているのに装甲値がプラス?」と思うかもしれませんが、本作の「装甲値」という語は装甲の厚さだけではなく「装甲部隊としての統合的な戦闘力の値」という意味で使われています。そして主砲の口径や初速、戦闘室や砲塔の装甲厚のみならず、大隊毎の装備車両数やサポートの有無、練度なども加味されているとしています。
 さて、機甲師団は3個のCCを編成するのですが、各CCの内部でも「タスクフォース(TF)」と呼ばれる諸兵科連合チームを形成し、戦闘はこうした単位で行われていたようです。
 ユニットカウンターを見ると、CCRは大隊長の名前がついた3個のTFで編成されていますが、CCAとCCBは混成ユニットではありません。史実では両CCは諸兵科連合チームを当初組んでいなかったらしく、大損害を受けた後にチーム編成を行った、とヒストリカルノートには記載されています。
 本作では、米軍戦車大隊は歩兵師団に配属された独立大隊はサポート状態とされることが多いのですが、機甲師団所属の大隊は集結状態で用いられます。このあたり、特別ルールを使わずに運用の違いを表現しているんだな、と感じました。

 米軍の初期配置である歩兵5個師団、機甲1個師団、機甲騎兵1個群を見てきました。初期配置には他に若干の独立工兵や歩兵大隊がありますが、これは省略。
 次回以降、はドイツ、アメリカ両陣営の増援部隊もちらっと見ていこうかな、と思っています。

 それにしても、アルデンヌ攻勢はドイツ軍側の開始時戦力が歩兵12個、装甲5個師団で、対する米軍が歩兵5個、機甲1.5個師団、師団数の比率は17:6,5で、ウォーゲーム的には3:1が立ってないんだな、と思った次第です。各師団の戦力を考えれば実質的な戦力比は「森林地帯の2:1」という程度だったのかもしれません。

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