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Last Blitzkrieg(BCS)のユニットカウンター紹介(その4) [ウォーゲーム]

 The Gamersの新作で、1944年12月のアルデンヌ攻勢を大隊レベルで再現するBCSの第一作となるLast Blitzkrieg、引き続きユニットカウンターの紹介をしてみようと思います。今回は、前回の武装SS2個装甲師団と同じ、第1SS装甲軍団に所属する3個の歩兵師団です。
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 まず第12国民擲弾兵師団(12VG)。「国民擲弾兵(Volks Grenadier)」というのはヒトラーが大戦末期に士気高揚を狙って名づけたとされる名称で、要するに「歩兵(Infantrie)」のことです。
 元来、ヨーロッパの歩兵には「戦列歩兵(Line Infantry)」「狙撃兵(Fusilier)」「擲弾兵(Grenadier)」「猟兵(Jager)」などいろいろな種類がありました。ちょっと用語が英独混ざってしまってすみません。
 上記のような細かい兵科の違いは20世紀になる頃には薄れてきましたが、狙撃兵とか擲弾兵といった用語はそれらがもともと精鋭部隊だったことから名称だけが引き継がれたり、「降下猟兵」のように軽歩兵という意味合いで使い続けられたようです。
 で、この12VGは、その番号のとおり第二次世界大戦開戦前から存在するベテラン師団で、アルデンヌ攻勢に参加したドイツ軍歩兵部隊のなかでも優良と評価された部隊だったようです。
 カウンターを見ると、当時のドイツ歩兵師団の典型で、3個ある連隊はそれぞれ2個大隊しかない定数の少ない編成ですが、各ユニットのアクションレーティングは展開サイドで4となかなか優秀です。
 LBではカウンターの裏表は兵科によってどちらが移動サイドで、どちらが展開サイドかが異なり、おおむね機械化部隊は表が移動サイド、歩兵は表が展開サイドであることが多いようです。歩兵は移動サイドになるとARが1下がるうえ「戦闘不適」部隊となってしまいます。
 さて、12VGの編成は3個歩兵連隊プラス工兵なのですが、それに加えて「Holtz」と記載されたKGと「12Fus」と記された「半自動車化」ユニットがあります。
 Holtz戦闘団はゲームに付属の歴史解説によると「IV号突撃砲6両を有する戦車猟兵大隊と、部分的に自動車化された狙撃兵中隊を基幹とする」と書かれています。部分的に自動車化された、というのは隣にある12Fusのことなので、ここから1個中隊が分遣されたということでしょうか。
 Fusというのは上で紹介している「狙撃兵(Fusilier)」の略で、ドイツ軍の歩兵師団にはそれぞれ、連隊ではなく師団直属の狙撃兵1個大隊がありました。狙撃兵といってもいわゆるスナイパーではなく、ナポレオン戦争あるいはそれ以前の時代に、各歩兵連隊から射撃の上手な兵士を集めて編成した精鋭部隊のことです。ここでも、攻撃の先陣を担う部隊とみなされているようです。
 ちなみにこの師団の通常の歩兵連隊である「27IR」も、名称としては「軽歩兵」連隊なんだそうです。
 史実ではこの師団はHJ師団のために突破口を開く役割を担っていましたが、正面に強力な米軍部隊がいたため攻撃は失敗。結局HJ師団と協同で再攻撃を行うことになります。いかに優秀とはいえ、火力で勝る米軍に歩兵だけで突撃するのは無謀ということだったのかもしれません。
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 こちらは12VGの隣に配備されていた第277国民擲弾兵師団。ノルマンディーでの戦いで全滅し、再編成された部隊なんだそうです。
 アルデンヌ攻勢に参加したドイツ軍歩兵師団は、その多くがまったく新しい部隊に、以前に全滅したまったく無関係の師団の番号だけつけたという部隊が多いのですが、277VGは兵員の多くが574VGですが、いちおう元部隊の生き残りもそこそこいたような記述を見受けます。
 しかし歴戦師団である12VGと比較すると編成は似ていますが各ユニットのARは2と低く、狙撃兵大隊もありません。ただ当時のドイツ軍歩兵師団に「書類上は」必ず配備されていたヘッツァー駆逐戦車大隊が付属し、サポートを行えるようになっています。
 277VGの歩兵大隊はステップ数も5で、定数を満たしていないことがわかります(12VGの歩兵大隊は6ステップ)。
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 277VGと非常に似た編成となっているのが空軍所属の第3降下猟兵師団(3FJ)です。陸軍との違いは各連隊がちゃんと3個大隊編成であるため、兵力にやや余裕があることでしょうか。
 それでも各大隊のステップは5、ARは2と「精鋭のグリーンデビルス」が泣くような評価になっています。つまり編成上は正規の部隊ですが、陸軍同様、兵力不足で指揮官の能力や兵士の練度は不足し、支援火器も少ない、ということなのでしょう。
 実際、この師団は作戦開始時の行軍に手間取り、せっかくの大部隊が細切れに投入されてしまったようです。

 ちなみに277VGと3FJの展開サイドのARが2というのは、移動サイドでは1になるということで、行軍中に攻撃されたらおそらくひとたまりもないかと思います。
 BCSは戦闘時の基本的な数値が相対するユニットのAR差なので、歩兵ユニットは原則として敵前では移動サイドにはなれない、ということになるような気もします。
 そう考えるとたとえ2ユニットでも機械化部隊を有している12VGはやはり優秀、ということなのかもしれません。

 なお、作戦の右翼を担当する第6SS装甲軍は、これまで紹介した第1SS装甲軍団のほかに、戦線の最右翼委に位置する第67軍団と、戦線突破後に投入される第2SS装甲軍団が所属しています。
 また、軍の配備地域のすぐ左側には隣接する第5装甲軍所属の第66軍団がおりました。このあたりを次回以降、並べてみたいと思います。

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