SSブログ

Last Blitzkrieg(BCS)のユニットカウンター紹介(その17) [ウォーゲーム]

 前回の装甲旅団に続いて、Last Blitzkriegのドイツ軍増援部隊、今回は装甲擲弾兵師団です。
 装甲擲弾兵(Panzergrenadier)というのはドイツ軍に興味がある人以外には耳慣れない単語と思いますが、はやい話が自動車化歩兵(英語ではmotorized Infantory)のことです。
 自動車化歩兵には非装甲のトラックや乗用車にのって戦場へ移動し、戦闘中は普通の歩兵として戦う部隊(motorized infantry)と、装甲を施した兵員輸送車に搭乗し、戦闘中も乗車したり、あるいは随伴して共に戦う部隊(mechanized またはarmored infantry)とがありました。
 大戦後期の米軍では歩兵師団の兵士が前者、機甲師団の歩兵が後者であることが多いのですが、自動車両が少ないドイツ軍では装甲師団でも3/4は前者でした。ドイツ軍にはこれらを厳密に区別する語はないのですが、ウォーゲームや戦史解説書などでは、便宜上、装甲兵員輸送車を装備する部隊だけを「装甲擲弾兵」と呼ぶこともあるようです。
 第二次世界大戦中のドイツ陸軍および武装SSでは、自動車化歩兵はInfantrie(mot)またはshutzeと呼ばれていました。しかしスターリングラード戦が終わった1943年の春ごろ、歩兵(Infantrie)を擲弾兵(grenadier)と名称変更するのに伴い、装甲師団の自動車化歩兵(Panzerschutze)が装甲擲弾兵(Panzergrenadier)に変更されました。
 このとき装甲師団に所属するのではない自動車化歩兵師団(Infantrie Division(mot))の歩兵Infantorie(mot)も、部隊名が装甲擲弾兵師団に変更された時点でgrenadier(mot)と改称され、その後Panzergrenadierに統一されたようです。
 装甲擲弾兵師団にはその後、戦車大隊が付属するようになり、単なる自動車化した歩兵師団からプチ装甲師団のような編成へと変化していきました。
LB_3PG.jpg
 最初の部隊は第3装甲擲弾兵師団です。この部隊はもともと第3歩兵師団(自動車化)という名称で1940年10月に編成されました。前身は第3歩兵師団で、1個連隊を第123歩兵師団へ抽出し、2個連隊で編成されました。
 実は、最初に編成された第2歩兵師団(自動車化)は通常の歩兵師団と同じ3個連隊編成だったのですが、どうも車両数が厖大すぎるということになったらしく、ポーランド戦後に2個連隊編成に改められました。
 第3歩兵師団(自動車化)はスターリングラードで包囲され壊滅。3月に第386歩兵師団から再編成され、6月に第3装甲擲弾兵となりました。戦車大隊が加わったのは3月の再編成時なので、戦車が配属されたから装甲擲弾兵師団と呼ばれるようになった、というわけではなさそうです。
 この師団は1943~44年の夏までイタリア戦線で戦い、その後メッツ>アーヘンと移動してアルデンヌ攻勢開始時には同地区で予備となっていました。その後、第6SS装甲軍を増強するために戦闘に投入されましたが、このころには装備は不足、兵員も未熟な2級部隊になっていたようです。
 戦車大隊の装備車両はIII号突撃砲で、戦車猟兵大隊はIV号駆逐戦車、つまりこの師団には回転砲塔を装備した「本当の」戦車は1両もいなかったことになります。
LB_15PG.jpg
 次に紹介する第15装甲擲弾兵師団は、上の第3装甲擲弾兵師団が初期の自動車化歩兵師団から続く歴戦の部隊であるのに対して、ちょっと特殊な由来を持つ師団です。
 この師団の前身はロンメル将軍のアフリカ軍団に属していた第15装甲師団で、この部隊は、相方の第21装甲師団とともに1943年の春チュニジアで壊滅しました。
 第21装甲師団のほうはフランスに配備されていた訓練部隊である「西方装甲師団」に名称を引き継いで存続しましたが、第15装甲師団のほうは7月1日に「シチリア装甲擲弾兵師団」をベースに再編成されたものの、装備する戦車が足りなかったのか2週間後には第15装甲擲弾兵師団に改名されてしまいました。師団の砲兵や砲兵の連隊名は装甲師団当時の名称を引き継いでいます。
 この師団もイタリア戦線での戦いの後、1944年の秋にロレーヌ、そしてアーヘンで戦闘し、アルデンヌ攻勢では戦いの後半にバストーニュを巡る包囲戦に投入されました。
 ヒストリカルノートによると、史料ではこの師団の第115装甲捜索大隊に関する1944~45年ごろの記述が見当たらないとのことで、本作でも捜索大隊のユニットがありません。
 一方戦車大隊には突撃砲で増強されてはいたもののちゃんとIV号戦車を装備していました。もっとも戦車猟兵大隊にも、IV号駆逐戦車だけでなく突撃砲も配備されていたようですが。
 この師団は全体的になかなか優秀な部隊として評価されているのではないかと思います。アフリカ戦線に興味がある人は104、115、33といった部隊名の響きに感慨があるかもしれないですね。

 次回は増援で登場する歩兵師団を見ていこうと思います。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

Last Blitzkrieg(BCS)..Last Blitzkrieg(BCS).. ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。