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Last Blitzkrieg(BCS)のユニットカウンター紹介(その11) [ウォーゲーム]

 Last Blitzkriegの米軍初期配置ユニットは、前回の北部に位置する第V軍団に所属する2個師団に続いて、アルデンヌ戦線の中央部というか、アルデンヌ戦区そのものを担当していた第VIII軍団の部隊を見ていこうと思います。まずは歩兵師団。
 前回からの続きということで北側から順に並べてみます。
LB_106ID.jpg
 当時の(現在に至るまで)もっとも番号の若い米軍師団がこの第106歩兵師団です。前回の第99師団同様まったく実戦を経験していない新米師団で、前線に到着したばかりで、訓練も未了だったようです。
 部隊も司令部も敵状をまったく認識していなかったため12月16日に完全な奇襲を受け、さらに輪をかけてその後の対応が混乱してしまい、あっけなく戦力の2/3が包囲されてしまいました。
 数日後にこの2個連隊は降伏。今日に至るまで「戦場で降伏した最大規模の米軍部隊」と記録ずくめとなってしまった不運な部隊です。
 上の画像では、第423連隊の第2大隊のみARが1と評価されていますが、これはこのユニットだけが表面が移動サイドで、他のユニットが表面が展開サイドだからです。本作のヒストリカルノートによると、この大隊は乗車状態で前線に向かう途中でドイツ軍の攻勢が開始され、連隊に合流したところで包囲されてしまったらしいです。
 なおよくみると、この師団は通常の歩兵師団よりもユニット数が多いのですが、第423連隊のProv大隊は連隊の対戦車砲中隊(おそらく57mm牽引砲装備)に砲兵部隊の一部と、第18機甲騎兵連隊のB中隊を加えて、「Bleialf」というシェネーアイフェル渓谷を抜けた先にある交差点の町の守備隊となっていました。
 また「Mixed」と記載されたユニットは師団の偵察部隊と第424連隊砲兵の一部からなるユニットだそうです。
 余談ですが、この師団は作家のカート・ヴォネガットが在席していた部隊で、ヴォネガットはこの戦いで捕虜になったのち、収容所のあったドレスデンで連合軍の猛爆撃を体験し、これを「スローターハウス5」という小説に仕上げました。
LB_28ID.jpg
 おそらく「バルジの戦い」において第101空挺師団とならんで、もっとも有名な米軍部隊のひとつかもしれません。米軍師団には「ビックレッドワン」とか「インディアンヘッド」とかいろいろニックネームがあります。
 この第28歩兵師団はもともと「キーストーン」というあだ名だったようなのですが、バルジの戦いの直前に「ヒュルトゲン森林の戦い」という消耗戦で大損害を被り、再編成のためにアルデンヌに配備されたところを再び攻撃され、2ヶ月で2度の壊滅的打撃を受けた結果、いつしか「ブラッディバケット(血で満たされたバケツ)」という恐ろしいあだ名で呼ばれるようになってしまったようです。
 というわけで、この師団は、あまりに分散して配備され、ドイツ軍精鋭の奇襲を受け、燦々たる状況で敗走する部隊というイメージで語られることも多いようです(TVシリーズ「バンド・オブ・ブラザース」でも「精鋭の101」との対比としてそうした描かれ方をしていました)。
 しかし、実際にはドイツ軍の攻勢開始前に補充は完了していて、定数を満たした状態で奮戦、クレルボーをはじめ各所でドイツ軍の進撃を遅滞させた功績がある師団、という評価があるようです。
 「バルジの戦い」を扱ったウォーゲームでは、この師団だけが守備範囲が特に広いので、部隊規模を変更したり、特別なルールを与えたりということも多いようですが、本作では中央に位置する第110連隊が例外的に中隊規模でユニット化され、なおかつ補充不可という扱いになっていることと、連隊毎にHQがあり、ルール上は別部隊として個別に活動化するという点が特殊です。
 師団所属の第707戦車大隊は110連隊に、牽引式の対戦車砲大隊が112連隊に配属されています。歩兵のARはのきなみ4とかなり優秀で、「兵力は少ないが手強い相手」という位置づけのようです。
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 地図上に初期配置される米軍歩兵師団としては最後となるのが、この第4歩兵師団です。ノルマンディー上陸作戦では初日にユタ・ビーチに上陸、上の28師団と同じくヒュルトゲンで損害を被ってアルデンヌへ移動してきたようです。
 この師団の配備位置は「バルジ」の南端という微妙な場所で、ゲームによって師団全体が登場したり、一部しか登場しなかったりします。本作での同師団トは上の画像のように1個連隊が欠けていますが、初期配置されるのは1個連隊のみ。第22連隊は増援で登場するようになっています。
 師団には戦車大隊のほか、対戦車砲が牽引式と自走砲の両方の大隊が配属されています。また師団直属の工兵大隊のほかに第159工兵大隊が配下にいるようになっています。
 「タスクフォースLuckett」というユニットは第9機甲師団の戦車や装甲車と第8歩兵師団の歩兵1個大隊で編成された臨時部隊で、第4歩兵師団の配下に編入された部隊のようです。

 これで、初期配置の米軍歩兵をすべてみてきました。第106師団以外は意外と強力という印象で、ドイツ軍の突破が失敗したのもむげなるかな、というところでしょうか。
 ゲームとしては不利な状況で頑強に抵抗する米軍を、いかに裏をかき、損害を抑えて迅速に突破できるか、というのがドイツ軍の課題になるようで、これはなかなか興味深いと思います。

 米軍には上記のほか、初期配置部隊として機甲騎兵連隊と機甲師団がそれぞれ1個ずつあるので、次回はそれを見てみようと思います。

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