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OCSの新作Beyond the Rhine(MMP)(その13) [ウォーゲーム]

 数回にわたって両陣営のユニットカウンターを紹介してきたBeyond the Rhineですが、先日特別ルールを訳し、カウンターも切断したので、さっそく専用地図を使用する状況設定6.8「A Time for Trumpet」つまりアルデンヌ攻勢のショートシナリオの初期配置を行ってみました。
BtR_tft001.jpg
 初期配置といってもプレーするつもりではなかったので、補給ポイントや航空機は配置せず、歩兵師団の損失ステップマーカーも置きませんでした。
 アルデンヌ攻勢は大戦末期の1944年12月中旬に、連合軍の部隊配備の間隙だったアルデンヌ高原地区に対してドイツ軍が総攻撃を敢行した戦いで、ドイツ軍の攻撃によって突出部が形勢されたことからアメリカ軍からは「バルジ(突出部)の戦い」とも呼ばれます。ドイツ側では「アルデンヌ攻勢」と呼ばれることが多いのですが作戦名の「ヴァハト・アム・ライン(ラインの守り)」で呼ばれることもあるようです。
 上の図は連合軍戦線の背後から見ている視点で、画面の左が北側になります。ドイツ軍は画面の上端に左右に展開し、それに向かい合うかたちで、英連邦軍が左側、アメリカ軍が右側に配置されています。
 アルデンヌ高原は地図の中央付近、ヘクスが薄茶や緑に塗られているあたりです。ドイツ軍の作戦目標は赤い円で記した連合軍の重要港湾、ベルギー北部にあるアントワープを占領し、米英軍を分断して英軍を孤立させ、戦意の低下をもたらそうというものでした。と、ここまではバルジの戦いに詳しい方なら説明するまでもないことかもです。
 青い線はドイツ軍の進撃予定路で、アルデンヌ高原を北西方向へ突破する第6SS装甲軍と第5装甲軍がリエージュとナミュール付近でミューズ川を渡り、ブリュッセルとアントワープを目指すという形になっています。さらに南側に隣接する第7軍がその側面を援護することになっていました。

 こうしてユニットを配置した地図を見ると、たしかにアルデンヌ高原は「幽霊戦線」と呼ばれていただけあって連合軍の密度は薄いです。ヒトラーでなくとも、これならけっこういけるかも? と思わせる配置ではあります。
 また、攻撃発起点に集結したドイツ軍のユニットを見ると、冬だったとはいえ、よくぞ連合軍に察知されず、ここまで兵力を集めたなと思います。もっともある程度の情報は報告されていたようで、連合軍上層部にはドイツ軍の反抗はあり得ないという楽観的な思い込みがあったと書かれることが多いようです。
 ドイツ軍は1940年の対フランス戦でもこの進撃路を使用しベルギーを孤立させることに成功しています。そのあたりは同じシリーズの2つ前に作品であるThe Blitzkrieg Legendで扱っていますが、これは教訓にはならなかったわけですね。

 ちなみにアルデンヌ攻勢の直前、連合軍はライン川西側の重要拠点であるアーヘンとその南側に広がるヒュルトゲン森林地帯に対する血みどろの攻勢を実施していて、上の配置をみても、そのあたりに米軍が大兵力を有しているのがわかります。逆にいえば、この攻勢のためにアルデンヌが手薄になったわけです。
 しかし、こう見るとドイツ軍が攻勢を行えば、アーヘン地区の部隊が引き抜かれて攻撃軸の北側に投入されるのはあきらかです。ドイツ軍が最短距離であるリエージュ、アントワープの線を主攻軸としたかったのはわかりますが、実際には中央部の第5装甲軍がもっとも西へ進撃できたのも当然かな、と頷けるような気もします。

 それにしても、バルジの戦いを題材にしたウォーゲームで地図が南北に長いというのも、作戦目標であるアントワープが含まれているのも、個人的には非常に新鮮です。
 アルデンヌ攻勢はどうしても戦術レベルというか、実際に戦闘が行われた区域を切り取ってウォーゲームにまとめることが多いように思いますが、このようにややマクロな視点でまとめるのも、ゲームとしては散漫になるかもしれませんが、全体像を把握できるという点でおもしろい試みだと思います。
 このようなアプローチはOCSというスケールに合致していて、シリーズ作品の利点が発揮されている、ということなのかもしれません。

BtR_tft002.jpg
 さて、こちらは上の画像アルデンヌ戦線を拡大したものです。画面左下にミューズ川の要衝リエージュ、右下の赤い円は連合軍がドイツ軍に包囲されながら死守した交差点の町バストーニュです。
 また中央付近の2つの赤い円は右がサン・ヴィト、左がマルメディーで、本作の地図ではこの2つもバストーニュに劣らず重要な交通結節点となっています。
 ドイツ軍の配置は青い線で示しましたが、画面左から第6SS装甲軍、第5装甲軍、第7軍となります。
 第6SS装甲軍は第1線に第1SSLAH、第12SSHJ装甲師団が並びますが、最前線にはさらに前方に歩兵師団と砲兵を並べています。後方に第9SSと第2SS装甲師団も配置されますが、これが増援部隊ではなく初期配置されるウォーゲームは他にはエポックバルジくらいかもです?
 一方、中央の第5装甲軍は3個の装甲師団がすべて最前線に配備されており、当時の状況を再現しています。もっともこの方面は前線をウール川が走っていて、車両の渡河に手間取ることになるわけですけれども。
 第6SS装甲軍の正面には第2歩兵師団、第5装甲軍正面には第28歩兵師団のユニットが見えますが、これらの師団は周囲に支隊を分遣しているので実際には1、2ステップしかありません。また史実で2個連隊が全滅した106歩兵師団は両装甲軍の間に位置していますが、初期配置の時点でもう半分包囲されています。
 右翼の援護部隊である第7軍は歩兵4個師団程度の戦力しかないので、戦線が伸びたときに維持できるのか不安になります。第5降下猟兵師団に突撃砲が付属していたり、ドイツ軍の砲兵火力がロケット砲メインだったりと、ヒストリカルリサーチの反映が興味深いところでもあります。
 なお本状況設定では第1ターンは天候が飛行不可なうえ、連合軍は初期配置の段階では予備を指定できません。そのため最初のリアクションフェイズでは移動も砲爆撃も行えないので、前線の砲兵は蹂躙されるかも。

 と、ただ並べてみるだけでけっこう発見があったこの状況設定。9ターンで終了しますし地図は1枚しかつかわないので、ぜひいずれプレーしてみたいと思います。
 また、この調子であと2つあるショートシナリオも並べてみようかな、と思っております。

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